☆ コラム

  2007/11/30「疑似科学に対する行政の対応

      人は科学的に装った情報に弱いところがある。象徴的な出来事としては、
     あの納豆ブームが記憶に新しいところであろうか。これは捏造データにより
     テレビ番組がつくられ、納豆でダイエットができるということで、一時は品
     切れになるほどだった。何が正しくて何が誤っているのか、メディアからの
     情報について厳しい目で見るには程遠いのが現状である。
      また、怪しい商品や技術を自治体に売り込むような動きも以前からある。
     ビニール袋などのごみから灯油を作り出す装置が、以前テレビで紹介された
     ことがある。これは結局インチキだったことがあとで判明したわけだが、当
     時は驚くべき技術として、テレビで紹介されるほどだった。

      本市においても今気になっているのが、EM(有用微生物群)菌について
     である。農作物の育成や水質浄化などについては、数多くの事例がその効果
     を示しているといえよう。しかし、過日このEM菌の創始者である比嘉照夫
     先生(琉球大学名誉教授)の話を聞いたとき、注意が必要ではないかと感じ
     た。それは講演のなかに科学と疑似科学(科学を装っているが科学的でない)
     が入り混じっていると感じたからである。特にEM菌を使用していると地震
     の揺れが軽減されるといった話は素直に受け入れられなかった。地震の揺れ
     は地盤の性質によって変わってくるのもで、家屋の揺れに対する強度は、地
     盤の状況に加え、建物の耐震性などが関係してくる。もし、ある微生物を使
     うだけで地震の揺れが軽減されるとしたら、これは新発見といえる。早速、
     科学的な検証をすべきである。また、EM菌そのものでなく、ボカシという
     ものをつくらなければ効果が発揮されないこと、しかも大量に必要となるこ
     となど、本当は何が有効に働いているのか、この点についても科学的な検証
     の必要性を感じた。

      メディアの情報も名誉教授の情報も権威がその背景にあり、聴衆はその権
     威を無批判に受け入れてしまう傾向がある。これが個人レベルの話ですめば
     大きな問題にはならないが、大衆を巻き込んだり、行政までもを巻き込んで
     しまうと見過ごすわけにはいかない。行政を巻き込むとは税金を使うことで
     ある。それが本当なのかどうか、まずは疑ってかかる姿勢が重要である。