☆ コラム

  2006/07/10「他人事ではない!
           −夕張市が財政再建団体へ−


       先月17日、北海道夕張市は国の管理下で再建を進める財政再建団体の指定
     を国に申請する方針を固めた。自主運営の放棄、自治体の倒産である。これは
     1992年福岡県赤池町以来のことである。
      国が押し進める三位一体改革は、地方への負担押しつけの感が歪めない。
     今後、夕張市のような地方自治体がまだでてくる可能性がないとは言えない
     であろう。

      夕張市は人口約1万3千人で、負債総額はおよそ632億円といわれてい
     る。市民ひとり当たりで換算すると、およそ479万円の借金になる。本市は
     人口15万9千人で、負債総額が昨年度決算で約1200億円だから、市民ひ
     とり当たりの借金は、約75万円となる。夕張市と比べると、数字的にはまだ
     余裕があるといえるが、安心はできない。
      市長が進めている競馬場跡地への新設大学の誘致、さらに日赤移転では、
     その整地や周辺整備等で約20億円が使われることになっている。また、大学
     や日赤が土地の無償貸与以外の移転費用をすべて自前でやっていただけるので
     あれば、市の負担はこれだけで済むが、そのようにはいかないようだ。特に新
     設大学については、その将来性について慎重に対応すべきと、何度も議会で訴
     えてきた。甘い将来見通しで先行投資してしまうと、本市も財政再建団体にな
     りかねないと心配していたが、大学準備会側が当初目論んでいた資金が集まら
     ず、事実上白紙となった。

      「橋をつくります」「ホールをつくります」など、「つくります」といった
     公約は、市民に対しての受けもよいであろう。しかし、今はバブルではない。
     政治は市民受けのいいことばかり言うのではなく、将来の負担も考えて「つく
     らない」ことも主張すべき時代ではなかろうか。