☆ コラム

  2006/01/17「本質を見抜く

      11年前の今日、阪神・淡路大震災が発生した。この日を境に多くの人々の人
     生も変わってしまった。直接的な影響を受けていない私自身もその一人である。

      さて、ここ数年は東海地震や首都圏直下型地震の発生が危惧され、地震・防災
     に対する人々の関心も高まっている。テレビや週刊誌などの各マスコミも、この
     問題を数多く取り上げている。
      正月のあるテレビ番組で、著名な占い師が今年の地震を予測するというので、
     ちょっと見てみた。その占い師の予言?は「世界の大国で大地震が起きる。日本
     でも震度6クラスの地震が発生する。」といったものだった。正直がっかりした。
     これでは単にあたりまえのこと、常識を言っているに過ぎない。
      まず、大国とは何を差すのか?いわゆる経済大国なら、アメリカも日本も地震
     多発国である。人口が多い国なら中国やインド、面積が大きい国ならロシア、い
     ずれも地震多発国である。あいまいな表現を使うことにより、当たりの対象を広
     げているだけで、逆に予言なら対象を絞るべきではないか。
      次に震度6の地震だが、昨年は2つ、一昨年は4つ、さらにその前の年は6つ
     起きている。今年日本で震度6の地震が起きても、何も珍しいことではない。

      このように、著名な占い師の発言ということで、多くの人々がそれに感心して
     しまうであろうことも、この程度である。ただ、今回は地震という私自身それな
     りの知識があることだから、物事の本質が見えたともいえる。
      では、道路公団民営化はどうか。郵政もそうであるが、民営化というと何やら
     良いイメージがあるのではなかろうか。しかし、道路公団を民営化しても、ムダ
     な高速道路建設に歯止めがかかったわけではない。また、今政府が進めている年
     金改革はどうか。厚生年金と共済年金の一元化が実現すれば、確かに進歩ではあ
     る。しかし、年金未納問題など、年金問題の本丸(本質)は国民年金にある。こ
     こを改革しなければ、真の改革とは言えない。

      マスコミが低俗化している今、われわれ国民ひとりひとりが、問題の本質を見
     抜く努力を怠ってしまうと、この国自体が誤った方向へ行きかねない。考えると
     いうことは面倒なことではあるが、われわれの子孫のためにも、考える努力を続
     けていきたい。