☆ コラム

  2005/08/09「郵政民営化と衆議院の解散

      昨日の参議院で郵政関連法案が否決され、衆議院が解散した。総選挙は30日
     公示、9月11日投票となった。

      参議院で否決され、衆議院を解散するといったことも変な話ではある。しか
     し、根本的な問題として今なぜ郵政民営化を急がなければならないのか、明確
     な説明がなされているとは思えない。
      確かに、道路公団などに流れている資金の入口(郵貯や簡保)をふさいでし
     まわなければ、抜本的な改革はできないであろう。反対派のなかには、公社や
     公団の資金源とされた財政投融資制度は既に改正され、郵貯が財投に回される
     ことはなくなったと主張する人がいる。しかし、その資金は財投債という国債
     に回され、国債市場を通過し、公庫・公団・事業団に融資が行なわれる仕組み
     になっただけというのが現実である。

      問題なのは、郵貯や簡保の資金の流れが不透明なことである。それを明らか
     にして、国民の資産をむさぼるような行為をやめさせることこそ求められてい
     る改革ではなかろうか。
      最近、道路公団の無駄遣いが問題になった。少し前にはグリーンピアに象徴
     される年金の無駄遣いが話題になった。
      構造改革、国民が最も望んでいることは、税金や年金も含め無駄遣いをなく
     し、将来の生活に対する不安を取り除いてくれる改革である、と私は確信して
     いる。

      では、郵政を民営化するとそうなるのであろうか。残念ながらこの点につい
     て、小泉首相は具体的な道筋を我々国民に示してはいない。ただ“郵政民営化
     こそ改革の本丸”と唱えているだけだ。到底、説明責任を果たしているとはい
     えない。

      総選挙、折角与えてくれたチャンスである。郵政民営化の是非などと、問題
     を矮小化せず、もっと大きな視点でこの国の行く末を考え、審判を下すべきで
     ある。
      官僚の天下りや談合、グリーンピアなどに象徴される税金の無駄遣いをいか
     にしてなくすのか? 年金問題など将来の生活に対する不安をどのように解消
     していくのか? 一言で言うなら“税金の使い道”こそ、今回の総選挙の争点
     にするべきことである。