☆ コラム

  2012/3/28「三陸海岸の状況と政治の役割」


      先週、地震予知研究の関係で三陸海岸を訪れた。岩手県釜石市、大船渡
     市、山田町、陸前高田市、そして、宮城県の気仙沼市にも足を伸ばした。
     いずれの地域でもがれきの山はあったが、復旧への進捗状況は、各地で異
     なっているようにみえた。岩手県内では、津波の被害にあった家屋のほと
     んどが撤去され、コンクリートの基礎だけが残る風景が広がっていた。し
     かし、気仙沼市では、被害にあったままの姿の家屋が多く残されていた。
     山田町のある住民の方が「石巻など宮城県は復旧が遅れている」と話して
     いたが、その言葉通りの状況を目にすることとなった。
      さて、車で道を走っていてしばしば目に飛び込んできたのは、政治家の
     看板(ポスター)であった。関心があるから自然と目に入ってきたとも考
     えられるが、復旧まっただ中のエリアでも議員の看板があったことには、
     ある面感心した。また、「復興」を掲げた議員のポスターも多く目にした。
     道沿いに何枚も連なっているポスター(看板)を見て感じたことは、「自
     らの宣伝を復旧させる前に、国会議員としてやるべきことがあるのでは?」
     といった思いであった。
      宮城県は、復興にかかる国への予算要求がかなり削られ、宮城県知事が
     憤っていた姿をテレビで見たことがある。これについては宮城県側の要求
     が、国を納得させるだけの内容ではなかったのでは?といった批判の声も
     あった。私が見たのは気仙沼市の一部だけであり、それだけで宮城県の復
     旧進捗状況をどうこう言うことはできないが、今はまさに政治の力が求め
     られているときである。国・県・市町村、それぞれの立場で、住民のため
     に今やるべき最優先のことは何か考えて行動していただけたなら有り難い。
     政治家は自分の宣伝(看板)を復旧させる前に、住民の生活を復旧させる
     ことに力を注いで欲しい。また、被災地以外の地域では、がれきの処理も
     含め、地域エゴを排除して考えてもらいたい。そして、地方議員は保身の
     ために地元の人気を優先させるのではなく、政治家として今果たすべき役
     割を考えてもらいたい。



2012/3/10「がれき処理と日本の“絆”」

       東北被災地のがれき処理が進まない。東日本大震災から1年が経とうと
      している段階で、岩手・宮城・福島3県で5%しか進んでいないという。
      がれきを日本全体で処理しようにも、放射能汚染の不安や処理能力の問題
      などから手を挙げる自治体も少ない。また、受け入れを表明している自治
      体でも、住民からの反対の声があがっている。
       安全な瓦礫のみを受け入れると言われても、住民が不安を感じてしまう
      のもわからなくはない。しかし、特に首都圏に住む人たちは、これまでに
      福島原発の恩恵を大いに受けてきたことを考えれば、そのことを棚にあげ
      て放射能への不安を盾にして反対するのは、あまりにも身勝手であると私
      は思う。もし、反対する住民が、今まで電気を使わない暮らしをしてきた
      のであれば、身勝手とは思わない。一歩譲って、震災前から原発反対運動
      をしてきたのであれば、納得することもできる。しかし、原発反対運動も
      せずに、電力という恩恵だけを受けてきたのであれば、恩恵と表裏一体の
      リスクも、甘んじて受け入れる覚悟を持つべきである。福島をはじめ、被
      災地の人たちだけにリスクを負わせることが“絆”だとは、私は思わない。
      それでも瓦礫の受け入れを拒否するのであれば、今から全く電力を使わな
      い生活をしたらどうであろうか。
       また、これまで原発安全神話をつくってきた政治家、官僚、東京電力、
      御用学者、そしてマスコミの罪も忘れてはならない。特に瓦礫の受け入れ
      を反対する人々は、その原因をつくったこれら原発ムラの住民に対して、
      責任を取ってもらうことを声を大にして訴えるべきである。今からでもで
      きる具体的な行動としては、原発推進の立場をとっている新聞の購読を即
      刻やめることである。私たち国民はこの連中にダマされ続けてきたのだ。
      現状では、彼らの誰も責任を取っていない。したがって、彼らにちゃんと
      罪を償わせること、そして、それを実行できる政治家を選ぶことが、私た
      ちがやるべきことである。

       さて、ここからは具体的な瓦礫の処理方法について少し述べてみたい。
      先日あるテレビ番組で(財)地球環境戦略研究機関国際生態学センターの
      宮脇昭先生が、非常に興味深い処理方法を紹介していた。瓦礫処理の基本
      は焼却して灰にすることであるが、先生のアイデアは、瓦礫を焼却せずに
      埋め立て、その上に地元の木(広葉樹)を植えるというものである。そし
      て、それを海岸線に沿って堤防のように盛り上げて作れば、津波の防波堤
      の役目にもなる。ポイントはその土地に昔から生息している広葉樹を使う
      ことだ。今回の津波でも松などの針葉樹の多くはなぎ倒されたが、広葉樹
      は根が深いため、なぎ倒されずに残ったものも多かったようである。宮脇
      先生が提案する方法を適用すると、瓦礫のすきまに根が広がり、瓦礫でで
      きた堤防を頑丈にするらしい。
       役所仕事は一端方法論が決まってしまうと、それを変えることは容易で
      はない。この場合は「瓦礫は焼却して埋め立て」という決まり事である。
      この方法ならば、地元で新たな雇用を創出することもできるであろう。な
      かなか進まない瓦礫処理の方法として、このような新しいアイデアの採用
      をぜひとも真剣に検討してもらいたい。



2012/2/24「光市母子殺害事件で元少年に死刑判決」

       1999年に山口県光市で起きた母子殺害事件で、最高裁は犯行当時18歳
      の被告の上告を棄却し、死刑が確定した。この事件は社会的にも大きな関
      心を呼び、犯罪被害者の権利を向上させるきっかけになった事件でもあっ
      た。私も全国犯罪被害者の会のシンポジウムに参加したことがある。日本
      では加害者の人権を尊重する一方で、被害者やその遺族の人権はないがし
      ろにされてきた。それが犯罪被害者等基本法により大きく前進した。しか
      し、法律家を育てる教育プログラムそのものが、加害者人権尊重に偏って
      いる現状は残っている。
       死刑廃止を推進する議員連盟の会長である亀井静香国民新党代表は、22
      日の記者会見で、「どんな犯罪者の命であっても尊い命であることには変
      わりない。それを国家権力が奪うことは、私としては許し難い」と、反対
      する見解を示した。では、犯罪者に奪われた命はどうなのであろうか?そ
      の点を問題にするのではなく、国家権力が命を奪うことを亀井氏は問題に
      しているのかもしれない。しかし、報復が許されない現状で、加害者の命
      は尊重され、被害者の命や家族感情が無視されるのであれば、それは国家
      として、あまりにも加害者に偏りすぎる態度といえる。
       日本の法律では、無期懲役という名の実質有期の刑と、死刑との間に大
      きな隔たりがあり、その点が以前から問題視されている。法律を変えるこ
      とができるのは国会議員だけである。であるならば、単に死刑廃止を前面
      に出す議員連盟では、あまりにも稚拙である。せめて「刑法改正を推進す
      る議員連盟(死刑廃止含む)」ぐらいのことは言ってもらいたいものだ。
       被害者やその家族よりも加害者の人権を擁護する現状の是正や、仮釈放
      のない終身刑の導入など、抜本的に日本の刑法のあり方を議論し、法改正
      できるのは国会だけである。単に死刑制度に反対するだけでなく、国会議
      員なら被害者の権利向上や終身刑について、もっと積極的に法改正に動く
      ことを望んでいる。



2012/2/15「大阪維新の会『船中八策』に思うこと」

       大阪維新の会が次期総選挙をにらんで、マニフェストのたたき台となる
      維新版「船中八策」を公表した。こうした動きの表面だけをマスコミが繰
      り返し報道することによって、また劇場型の政治が繰り返されてしまうこ
      とを懸念している。私たち国民は今度こそ、中身をよく精査してから良し
      悪しを決めるべきである。前回の総選挙で民主党にダマされて今があるこ
      とを決して忘れてはならない。
       維新版「船中八策」はまだ素案の段階であるが、橋下市長は「既存政党
      では既得権益に切り込めない」と述べたらしい。確かにそれには同意する
      が、民主党も政官財の癒着構造にどっぷり浸かった自民党では改革はでき
      ない、と言っていたと記憶している。また、野田首相に代表されるように、
      政権奪取の前には官僚主導の政治を批判していても、政府に入ってしまう
      と自らが批判していた官僚と同じシロアリと化している現状がある。政治
      塾で数ヶ月学んだところで、官僚以上の知識や頭脳の回転力が身につくは
      ずもない。現状を見る限り、かけ声倒れで終わった民主党やむかしの日本
      新党などとの違いがはっきりしない。
       しかし、希望が持てるとしたら、維新版「船中八策」に議員歳費の半減
      や政党助成金を削減が盛り込まれていることである。現状の政治を批判し、
      胸のすくような演説をしていた候補者でも、バッジをつけたとたんに豹変
      してしまう理由は、まさにこの議員既得権益にあると私は考えている。議
      員が自らの既得権益に切り込めてこそ、覚悟を持った政治家といえよう。
      そしてその覚悟があれば、賢い官僚を前にしても信念がぶれることはない
      と考える。

       自らの信念を貫くと潰されてしまうのが政治の世界である。いや、一般
      企業であってもそのような傾向はある。しかし、今一度「日本を洗濯する」
      という強い政治信念を持って、議員自らの既得権益を捨ててでも政治に取
      り組む覚悟があれば、そして、その流れが大きな束となれば、この国を変
      えることができると私は信じている。



2012/2/1「首都圏直下地震M7級、
        4年以内に70%の衝撃」


       先月末に「首都圏直下地震M(マグニチュード)7クラス、4年以内の
      発生確率が70%」といった報道がマスコミを賑わせた。これは東京大学
      地震研究所のある研究チームが行った試算である。この研究結果は昨秋に
      開かれた研究発表会でこの結果を報告し、報道もされている。ただそのと
      きは「30年で98%」という記事だった。意味するところは同じであっ
      ても、「30年以内」と「4年以内」では切迫度が大きく異なり、今回の
      騒ぎになったと考えられる。
       「首都直下型M7級/4年内70%」という試算結果については、批判
      的な見解を示す研究者もいる。この試算結果の基となった地震活動度の活
      発化が3.11東日本大震災による余震活動ではないといえるかどうかが大き
      な問題点である。こうした議論は今後も続くであろう。
       さて、ここで考えたいのはこの報道が社会に与えた影響である。報道を
      聞いて地震対策が進んだのであれば、それなりの効果はあったいうことも
      できよう。しかし、いたずらに世間を騒がした面もある。1月25日大地震
      発生説がインターネット上を騒がした。この件について、私のところにも
      また、同僚の地震研究者のところにも問い合わせの電話やメールがあった。
      ネット上ではこうした地震発生のうわさは四六時中出ている。しかし、今
      回は「首都直下型M7級/4年内70%」の報道とたまたま時期が重なっ
      たため、デマに不安を感じてしまう人が多くなってしまったようだ。
       安政年間 (1854年−1860年)には、伊賀上野 (1854, M7.4)、 安政東海
      (1854, M8.4)、安政南海 (1854, M8.4)、豊予海峡 (1854, M7.4)、飛騨
      (1855, M6.8)、宮城県沖 (1855, M7.3)、安政江戸 (1855, M6.9)、安政三
      陸 (1856, M7.7)、芸予 (1857, M7.3)、飛越 (1858, M6.7)、青森県東方
      沖 (1858, M7.3)など、数多くの被害地震が発生している。今の日本も地
      震活動期に入ったとみていいので、いつどこで地震が起きてもおかしくな
      い。「首都直下型M7級/4年内70%」といった地震発生予測や、地震
      発生のうわさ(デマ)に一喜一憂する前に、ニュースのネタにはならない
      地味なことではあるが、備えを進めることが何よりなすべきことである。



2012/1/19「福島第一原発事故を想定外とした
       構図に等しい事故収束宣言」


       野田首相は昨年12月16日に福島第一原発事故の収束宣言をしている。こ
      れについては、当初から批判が続出していた。私も首相の収束宣言には全
      く理解できないひとりである。誰ひとりとして炉心に立ち入ることすらで
      きない、言い換えれば事故の正確な状況を把握できていない段階で「収束
      宣言」はどう考えてもおかしなことである。
       15日(日)のNHKスペシャルで「シリーズ原発危機 知られざる放射能汚染
      〜海からの緊急報告〜」という番組を放送していた。これまで明らかにな
      っていなかった海洋や湖沼の放射能汚染に関する番組である。海洋汚染は
      福島第一原発周辺のみならず、銚子沖や東京湾にも汚染レベルの高いホッ
      トスポットの存在が確認されていた。このようなホットスポットは、汚染
      された泥や砂が集積される場所らしい。そして、汚染の度合いも今後数年
      にわたって上昇する可能性があるとのことであった。事故収束どころか、
      これから未知の放射能汚染に対応していかなければならないのである。原
      発事故直後、原子力保安院は海洋に放出された汚染水は拡散するから問題
      ないといった主旨の説明をしていた。これが全くのデタラメであったこと
      が、15日の放送を見てよくわかった。さらに、湖沼の放射能汚染も深刻で
      ある。番組では赤城山の大沼における汚染を紹介していたが、湖沼は集積
      した汚染土壌が外へ排出されにくいといった地形上の問題もあるらしい。
      チェルノブイリ事故では湖沼の汚染が長期間(十年以上)に渡っている。
      ひょうひょうと事故収束宣言をした野田首相に怒り心頭になった。

       あらためて野田首相の事故収束宣言を考えてみると、これはまさに臭い
      ものには蓋、みてみぬふりをして原発事故を想定外にしてしまった日本の
      原子力行政そのものであるといえる。太平洋戦争時も都合の悪い事実は伏
      せて、日本の勝利のみを伝えた大本営発表にも通じるものがある。野田首
      相の原発事故収束宣言は、大惨事を経験してもなお日本の中枢は全く学習
      能力がないことを証明している。
       では、どのようにしたら日本は原発事故と正面から向き合うことができ
      るのであろうか。まずは、国民を欺いている野田首相を、特に地元の支援
      者の方々が率先してその姿勢を批判し修正を求めることである。おそらく
      この収束宣言も官僚のシナリオに沿ってのことであろう。官僚がいなけれ
      ば仕事ができないと、官僚の言いなりになっているのが今の政府民主党で
      ある。しかし、有権者がそのような政治家を二度と選ばないほうが、彼ら
      にとってはもっと深刻な問題なのである。
       国政は国会議員にしか決めることはできないが、一般国民にとって不利
      益なことばかりやる国会議員を選んでいるのは私たち一般国民である。国
      民の中には、小泉元首相や橋下大阪市長のようなカリスマ的な政治家が、
      この国を変える力だと思っているひともいるであろう。しかし、カリスマ
      が出てこなくてもこの国を変えることはできるのである。野田首相のよう
      な国民を欺く政治家を、国民との契約であるマニフェストを次々と反故に
      する民主党議員を国会から退場させることこそが、この国を変える原動力
      になるのである。たとえそれが親類や友人であっても。



2011/12/31「国民が見えていない野田内閣

       昨日、民主党で消費税の引き上げ時期と税率を明記した社会保障・税一
      体改革の原案がまとまった。野田首相は、ここにきてやっと国会議員定数
      削減や国家公務員給与削減に全力を挙げることを強調した。「順番が逆」
      と思っているのは私だけではあるまい。2009年の総選挙で民主党が掲げた
      マニフェストに書かれていることを実行せず、書かれていない消費税増税
      を「不退転の決意」で取り組むなど、こんな総理大臣さっさと退場しても
      らいたい。ただ、高齢化の進展を考えれば、消費税増税によって社会保障
      を支える必要性を感じている国民は少なくないかもしれない。しかし、国
      会議員も公務員も血を流さずに、国民だけに負担を強いるようなことを認
      められるほど寛容な国民は少ないに違いない。
       これまでの野田首相の言動・行動を見ていると、自分が国民にどのよう
      に見られているのかわかっていない節がある。そのためにやることが後手
      後手である。例えば、今年の秋に注目を集めた朝霞の公務員宿舎について
      も、首相として一度は建設を容認しているが、世論も思わぬ(予想を超え
      た)反発を受け、凍結を支持している。しかし、これも凍結であって廃止
      ではなかった。また、福島第一原子力発電所の事故についても、野田首相
      は12月16日の記者会見で「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故
      そのものは収束に至った」と宣言した。いまだに原子炉内に入ることさえ
      できない状態で“事故収束”と言ってしまうなど、国民を欺く行為である
      と多くの国民はわかっているはずである。それがわからない野田佳彦首相
      は本当に国民が見えていないとしかいいようがない。
       私が野田佳彦首相の選挙区住民であったなら、次の選挙では絶対にこの
      人に一票を投じることはない。それだけでなく、野田佳彦首相の落選運動
      を展開したいぐらいの思いである。国民の期待を集めて政権交代を実現さ
      せた民主党は、いまや詐欺師集団以外の何者でもない。ただ、約束の期間
      はまだ残されている。せめて次の総選挙までに衆議院の定数を80削減さ
      せていたなら、まだ次へのわずかな期待を持ってもいいかもしれない。し
      かし、それすらできずに国民と約束していない消費税増税に命を賭けるな
      ら、次の選挙では野田佳彦首相をはじめ、現職の民主党衆議院議員は国会
      から全員消えて欲しい。
       いったいこの国はなぜおかしくなってしまったのであろうか?問題の本
      質は政治家にあるのではなく、政治家を選ぶ私たち国民・有権者にあるこ
      とを、もう気づかなければ本当にこの国は没落してしまうと感じている。
      問題の本質は選ぶ側の私たち国民の意識にある。地元から総理大臣が出た
      となれば、それだけで喜ぶ地元民は多いであろう。だから、世論でいろい
      ろ言われても地元の星として、また一票を投じてしまうのが人の情け、有
      権者の意識でもある。しかし、こうした有権者の情け、ひいき目がこの国
      を借金大国し、議員・公務員天国にしてしまったことをもう気づいて欲し
      い。契約違反をした議員は、たとえ身内であっても次の選挙では退場させ
      る覚悟を持つことが、今求められていることだと強く感じている。



2011/12/4「大阪・橋下劇場の勝利
        ー維新の会は本物か?ー


       先月27日に投開票が行われた大阪市長選及び大阪府知事選のダブル選挙
      で、大阪維新の会の橋下・松井の両候補が勝利を収めた。事前の世論調査
      でも両氏の有利が伝えられていたから、予想通りの結果といえる。
       個人的には首長率いる地域政党は独裁につながりかねないため、好まし
      いものとは思っていない。首長と議会は緊張関係を保ちつつ、お互い切磋
      琢磨して地方政治をリードしていくことが理想であると考えている。首長
      主導の地域政党は首長のイエスマン政党であり、自民党政権下時代のオー
      ル与党議会と何ら変わらない。本来ならば、議員主導の地域政党が首長と
      肩を並べて政策論争をするのが理想と考えている。しかし、多くの地方議
      会は、いまだに首長の追認機関から脱することができないでいるのが現実
      である。これは首長と議会議員を共に選挙で選ぶ二元代表制が、もはや正
      常に機能しないことを意味しているのかも知れない。また、首長主導の地
      域政党が各地で誕生しているのは、地方政治も国会のように、議員のなか
      から行政のトップを選ぶといった流れへの布石なのかもしれない。
       さて、大阪のことに話を戻すと、大阪市も大阪府も厳しい財政事情であ
      り、橋下新市長は早速自らの月額給与を3割、退職金を半額カットする条
      例案を、12月議会に提案する意向を明らかにしている。また、大阪府議
      会では議員報酬の3割削減を本年度から実施している。厳しい財政事情を
      鑑み、いずれも自ら範を示した行動である。また、ところは違うが、名古
      屋市の河村たかし市長も自らの給与を年額800万円に引き下げるなど、
      自ら範を示している。こうした姿勢は高く評価したい。そして、国会議員
      にはこうした姿勢を見習って、国民に負担を強いる前にぜひとも自ら範を
      示して欲しい。国会議員ひとりに使われる税金は、1億円以上といわれて
      いる。公務員宿舎の全廃ができないのは、自ら豪華な議員宿舎を持ってい
      るからであろう。まずは政党助成金年間約320億円を全額返納していた
      だきたい。よく政治に金はかかるといわれるが、今世間では厳しい懐事情
      のなかで“やりくり”しているのである。国会議員も特権階級意識を捨て、
      国民同様にやりくりすることを考えて欲しい。
       大阪の動きが果たして国政にまで広がっていくのかどうかはまだ未知数
      ではある。いずれにしても、議員という特権をありがたがる人たちを政治
      の表舞台から退場させないことには、真の改革はできないであろう。市民
      (国民)に負担を強いる前に自ら身を削ることが、これからの政治家には
      求められる。しかし、有権者はそこでダマされてはいけない。有権者に見
      えるところでは自ら身を削る姿勢を示す一方で、見えないところでがっぽ
      りと金を集めている政治家もいる。政治が儲かる商売であっては、国民が
      幸せになるような政治はできないであろう。市民(国民)が幸せになるよ
      うな真の改革を実現させるには、私たちがこうした偽善者(にせ者)を見
      抜く目を養うことも必要なのである。



2011/11/10「TPP交渉参加の是非、
        これから日本はどうなる?


       国論を二分した感のあるTPP問題、本日野田首相が参加の意向を正式
      に表明するはずだった。しかし、会見は急きょ延期となった。民主党の反
      対派からの圧力でもあったのだろうか。TPP交渉に参加したらどのよう
      になり、参加しなかった場合はどうなることが予想されるのか、また、交
      渉に参加した場合、日本はどのような主張をもって交渉に臨むのか、いず
      れも不透明なままでの参加・不参加の表明は腑に落ちない。
       この問題は工業対農業といった限られた分野の話ではなく、知的財産権、
      労働規制、金融、医療サービスなども含む包括的な問題である。世論調査
      でも多くの国民が政府の説明責任が不十分との認識を示している。問題は
      TPPの全体像が見えてこないところにある。だから参加の是非を判断で
      きない国民も多いと思われる。私も現状では判断しかねるところがある。
      しかし、TPP問題とは別に、日本の農業は高齢化と兼業化が進展してお
      り、早急なる抜本改革が必要である。TPP交渉参加に賛成の議員も、農
      業関係の反対派に対して、自分たちが描く日本農業の将来ビジョンを示す
      べきである。それができないから、問題がこじれているようにも思える。
      また、賛成派・反対派いずれにもいえることだが、TPP交渉に参加また
      は不参加の場合、国際社会で将来の日本がどうなると考えているのか、そ
      こまで示してお互い議論を深めて欲しい。
       TPPを受け入れた場合のメリット、デメリットを明らかにすることは
      確かに必要だが、その前に政治家がやるべきことは、TPP参加または不
      参加によって、日本をどのような国にしたいのかを国民に向かってアピー
      ルすることではないかと私は考えている。参加した場合、外国人労働者の
      受け入れを緩めて生産労働人口を増やし、高齢化社会を支えるとか、不参
      加の場合はこのような施策で内需拡大をはかり、日本の貿易はこのように
      するなど、国会議員であるなら持論を示して欲しい。また、参加を決めた
      以上、途中離脱はありえないなどと言う議員は政治家失格である。外交は
      戦いである。アメリカのいいように振り回され、国民に不利益をもたらす
      場合には、はっきりとNo!とたたきつけるのが真の政治家である。国会
      議員の仕事は、国民の生命・財産を守ることにある。



2011/10/12「みんなの党へのお願い
      −まずは政党助成金の返納を−


       東日本大震災を受けて今年の4月から行われてきた月額50万円の国会
      議員の歳費削減が9月をもって打ち切られた。民主党は国民に増税を強い
      て、これ以上自らの身は削らないということだ。
       これに対して、みんなの党は震災前から「給与3割、ボーナス5割カッ
      ト」法案を国会へ提出していた。一見すれば、国民の代表たる国会議員と
      して立派な姿勢である。しかし、他の政党が相手にしないことをわかって
      やっているとしたら、大衆迎合のパフォーマンスと見て取ることもできる。
      果たして事実はどうなのだろうか。それを読み解くには、議員に支払われ
      ているもの全てを含めて考えればわかる。国会議員には歳費(給与)以外
      に公設秘書給与や政党助成金など、年間でひとり当たり1億円以上の税金
      が支払われている。とてつもない額である。みんなの党は厳しい財政事情
      を受け「給与3割、ボーナス5割カット」を震災前から訴えている。しか
      し、本当に「議員自ら身を削るべき」と考えているなら、はじめから通過
      する見込みのない法案を出す前に、政党助成金の全額返納からはじめて欲
      しい。本年度みんなの党に交付される予定の政党助成金は11億1630
      万円である。政党助成金であれば、他の政党の意向に関係なく「議員自ら
      身を削る」ことができる。現に共産党は政党助成金を受け取っていない。

       国民に負担を強いるなら、まずは議員・公務員から身を削るべきである
      ことはあたりまえのはずだ。なぜなら議員も含め、公務員はみな公僕であ
      る。口先だけのパフォーマンス政治の実態が今の民主党政権である。マニ
      フェストは国民との契約だから、今の民主党は詐欺師に等しい。給与削減
      を唱えるみんなの党も、それが単なるパフォーマンスでないというなら、
      まずは政党助成金の全額返納から実行してもらいたい。それができないな
      ら、民主党同様に国民を欺く政党ということになる。



2011/9/30「今、新官舎を着工できるなら増税は不要
      −枝野大臣はなぜそれを認めるのか?−


       埼玉県朝霞市で今月1日から建設費105億円の国家公務員宿舎が着工
      した。この報道を聞いて私は憤りを感じずにはいられなかった。早速ニュ
      ースを流したTV局に意見を述べた。
       この官舎はもともと、事業仕分けで凍結になった事業である。事業仕分
      けで廃止となった事業も、官僚はあの手この手で復活させるであろうと当
      時から言われていたが、東日本大震災でこの国が大きな危機に直面してい
      るにもかかわらず、官僚は自分たちのことしか考えていないことが、あら
      ためてハッキリした。それと同時に、民主党の事業仕分けも単なるパフォ
      ーマンスであったこともハッキリした。
       この官舎着工を認めたのは、当時財務大臣だった野田首相だというでは
      ないか。また、実際に仕分け人として廃止を決めた枝野経産大臣がなぜ声
      を上げないのか?担当大臣でなくとも「仕分けの結果を尊重しないなら、
      大臣を降りる」と言って抵抗することはできるはずだ。現政権は官僚から
      の協力を得る代わりに、官僚の既得権益を擁護しているようにみえる。ま
      さにバーター取引だ。民主党は「国民の生活が第一」と訴えて政権の座に
      ついたはずなのに、今や国民にだけ負担を強いて、自己保身と官僚擁護で
      はもう政権を任せたくはない。

       枝野幸男大臣については、彼が衆議院議員になってから長年続けてきた
      オープンミーティングに、私は何度も参加させてもらっている。このオー
      プンミーティングはあるテーマを決め、月1回のペースで開かれていた。
      前半は枝野代議士の話で、後半は参加者との質疑応答である。どのような
      質問が飛び出すかわからないなかでのやりとりで、論客としての彼のスキ
      ルも磨かれたのだと思っている。私も市議二期目には彼を見習って、オー
      プンミーティングをはじめた。私もここで自分自身のスキルが磨かれたと
      感じている。
       枝野大臣には個人的に期待が大きかったので、仕分け人として結論を出
      した事業の復活を容認することだけは、現職閣僚として最後の最後まで反
      対して欲しい。政治屋は自己矛盾を詭弁で誤魔化すか、見て見ぬふりをす
      るであろう。枝野大臣には信念を曲げない真の政治家であって欲しい。



2011/8/30「野田佳彦新首相へ、増税その前に

       本日開かれた国会で、野田佳彦首相が誕生した。野田新首相は、菅前首
      相の退陣表明後、早い段階から民主党代表選挙への出馬を表明していた。
      そのなかで、大連立構想や増税を打ち出していた。今回の代表選に出馬し
      た5人のなかで、明確に増税路線を示したのは、野田首相だけである。
       日本人は我慢強く、被災地復興のためと言われれば、多くの国民が増税
      やむなしと思うであろう。しかしその前に、やるべきことをまだ民主党は
      やっていない。2年前に国民が政権交代を選んだのは、民主党へ期待から
      であろう。では何を期待したのか。いろいろあるであろうが、共通すると
      ころは、税金の無駄遣いをなくすことではないだろうか。
       まずは自らの身を削ること、国会議員の定数削減を実行し、そのあとに
      天下りの根絶を含めた公務員制度の抜本改革である。さらに、無駄遣いの
      温床となっている天下り先の特殊法人等の解体である。また、先日の報道
      にもあった官僚の退職金の上乗せなど言語道断である。国会議員は「制度
      だからどうしようもない」といったいいわけはできない。あなた方しかこ
      の国の法律を定めることはできないのである。言い換えれば、あなた方な
      らこの制度も変えることができるのだ。
       今は国難のときである。だからこそ、国会議員は政党助成金や自らの各
      種の特権にもメスを入れ、徹底的に自らの身を削った後に地方議員にも徹
      底した削減を促すべきである。それらを実行した上で、次に国家公務員、
      地方公務員にも身を削ってもらい、それでもまだ復興のための資金が足ら
      ないというなら、ぜひとも増税を堂々と打ち出して欲しい。議員と公務員
      が徹底してその身を削ることができたなら、多くの国民は増税を受け入れ
      るであろう(ただし、被災者への配慮は必要である)。また、年金など社
      会保障費に関わる増税をしたいのであれば、公務員の共済年金を国民年金
      に一元化するなど、公務員の特権をすべて剥奪した上で、国民に増税を打
      診していただきたい。公務員は議員も含め、国民の公僕であることを今一
      度思い出して欲しい。民主党は、支持母体の自治労に気を遣ってこうした
      改革ができないようであれば、党そのものを解体すべきである。



2011/8/18「次の日本のリーダーに求めることは?

       管首相の退陣がやっと現実味を帯び、民主党では次期首相候補に名乗り
      を上げる議員が次々と現れている。マスコミは「大連立」や「復興増税」
      の是非を争点として取り上げているが、これらは目的達成のための手段に
      過ぎない。その前に、この国をどのように立て直していくのか?といった
      大命題(目的)が必要である。それ抜きにして方法論だけを争点としたと
      ころで、震災後の混迷を脱することはできないであろう。
       宮城県は17日、県震災復興計画の最終案を決定した。その中身は、住
      居の高台移転や防潮堤などを組み合わせた多重防御を柱としたものである。
      しかし、財源の手当てなどは国頼みで、計画実現は不透明といえる。また、
      村井知事は「地域の意見を盛り込んだ提案型の計画」を強調しているが、
      福島県が復興ビジョンで示した「脱原発」については、「エネルギー政策
      を担う国が方針を示していない以上、県がうたうべきではない」と、提案
      を避けている。一方では国に提案し、他方では国が方針を示していないこ
      とを理由に提案を避けている。現場(地方)主導で復興をしていく覚悟を
      もっているなら、エネルギー政策についても国に提案して欲しかった。こ
      れでは地方分権、地域主権は夢のまた夢になってしまう。
       私が大学生の頃、原子力発電所は「トイレのないホテル」と言われてい
      た。きれいなホテルで美味しいものをたらふく食べ、美味しいお酒も飲ん
      で、いざトイレに行こうとするとトイレがない。プールの側にいたある人
      が我慢しきれなくなって、排泄してしまった。その排泄物はプールの水を
      汚染し、悪臭は風に乗って方々へ広がった。やや汚い例えではあるが、福
      島第一原発事故は、そのような状態といえる。

       エネルギー政策は、我が国が進むべき道を示す大命題のひとつである。
      この議論を避けて、大連立だとか復興増税だとか言っているようでは、政
      治家とは言えない。これからの日本のリーダーを目指す方々には、是非と
      も日本の将来ビジョンを語ってもらいたい。また、エネルギー政策だけで
      なく、外交も重要な問題である。尖閣諸島や竹島問題など、我が国の主権
      が脅かされていることについても、しっかりとしたビジョンを国民に示し
      て欲しい。
       ちなみに私の個人的な考えは、エネルギー政策は、脱原発、自然エネル
      ギー推進、さらに、それに伴うライフスタイルの変換である。尖閣諸島や
      竹島問題などについては、中国や韓国の実効支配を許さず、国際的に我が
      国の正当性を訴えるところから始めるべきと考える。



2011/7/14「脱原発には賛同するが、前途は多難

       昨日の記者会見で菅首相は、我が国の今後のエネルギー政策について、
      段階的に原子力発電の依存度を下げ、将来的には原発をなくす社会を目指
      すことを表明した。世論調査にみる支持率も2割を切り、多くの国民が早
      期退陣を願っている首相の発言なので、さほど重みは感じない。しかし、
      脱原発といった方向は、私自身の昔からの考えとも一致しており、国が大
      きく舵を切ることについては、大いに賛同する。
       ただ、前途は多難である。代替エネルギーの道筋も示されておらず、管
      首相のいう脱原発は、今のところ絵に描いた餅に過ぎない。原発依存から
      太陽光や風力などの自然エネルギー利用を推進することになるであろうが、
      電力の総量や安定性を考えると、そう簡単に自然エネルギーで、今の電力
      需要をまかなうことができるとは思えない。そこで、次に考えるべきこと
      は、今の生活様式を見直し、価値観そのものも見直すことであると主張し
      たい。
       以前から日本のエコ活動には、いろいろな点で違和感を覚えている。例
      えば冬のイルミネーションである。電球をLEDに代えたところでイルミネ
      ーションの総量が増えてしまえば、電力消費は増えてしまう。こうした矛
      盾点を問題視したマスコミの報道に出くわしたことがない。3.11以降、節
      電が叫ばれるようになり、我々も本質的に節電を意識するようにはなった。
      ただ、経済活動とエネルギー消費のバランスをどのようにとっていくかと
      いった議論は、まだまだこれからである。
       日本は人口減少社会に突入しただけでなく、高齢化が急速に進展してい
      る。少子化も歯止めがかかっていない。こうした社会で国内における拡大
      生産・拡大消費はもはや望めない。エネルギー依存の問題にとどまらず、
      日本は今大きな岐路に立たされている。



2011/6/11「3.11から三ヶ月

       今日で東日本大震災発生から3ヶ月となる。避難生活者はいまだに9万
      人を超えている。復旧・復興にはまだまだ長い月日がかかってしまうであ
      ろう。
       ちょうど1ヶ月前の5月11日、私は宮城県七ヶ浜町でヘドロやがれき
      の撤去をしていた。午後2時46分のサイレンで1分間の黙祷を行ったが、
      自然と涙が湧いてきた。あまりにも悲惨な出来事に対する悲しみもあった
      であろうが、それよりは何もできなかった悔しさのほうが強かった。
       この3ヶ月間で政治に失望した国民も多いであろう。確かに管政権に不
      手際はあるだろうが、同じ民主党内でも復興より権力争いが優先されてい
      る。また、原発事故の元凶をつくった自民党もその責任をとることよりも、
      政局優先である。この国難の時であっても政治家は自らの権力欲をむき出
      しにしている。
       5月下旬には千葉の幕張で地球惑星科学連合大会が開かれ、東北太平洋
      沖地震(東日本大震災)に関わる数々の研究報告があった。私もここでい
      ろいろな話を聞いてきた。地震学の研究傾向として、歴史地震の研究が疎
      んじられていたことが、千年に一度といわれる今回の地震の警告につなが
      らなかったという反省もあった。また、地震予知に関しては、北海道大学
      日置教授の研究結果が興味深い。衛星のデータを使った解析で、地震発生
      の約40分前に震源上空の「電離層」の電子量に異常がみられたという。
      この研究結果が直前地震予知の実現につながるとまではいいきれないが、
      近年の地震予知不可能論に一石を投じる可能性はある。
       現時点では確定的でない地震予知情報を、社会が受け入れられる状況に
      はない。また、想定外といわれる今回の地震では、防災の限界も明らかに
      なった。千年に一度の自然災害に備えるには、それ相応の予算が伴う。そ
      れよりも今の生活のために予算を使うべきといった考え方もある。少子高
      齢化に人口減少、そして自然災害の多い我が国が、これからどのような国
      づくり・まちづくりをしていくべきなのか、今やるべきことはここにある
      と感じている。



2011/4/16「議員報酬を削減し、
        被災者支援や中小企業支援へ


       東日本大震災では本市でも家屋等の被害が発生した。また、この震災の
      影響で仕事がストップしてしまった会社や、仕事が激減した会社も数多く
      出ている。こうした状況下で、市議会議員がすべきことは何か。その筆頭
      に議員報酬を削減して、被災者支援や中小企業支援に充てることを挙げた
      い。2割減で年間4千万円弱、3割減で6千万円弱、5割減なら1億円弱
      の資金が捻出できる計算になる。今は日本の非常事態である。議員だけが
      優遇されるような状況ではない。この市のことを本当に思うのなら、議員
      が率先して自らの身を削り、市民生活安定のために行動すべきである。
       しかし、議会は議員の総意でものごとが決まる。ひとりがそれを主張し
      ても皆の合意が得られなければ実現しない。選挙といういい機会に、市民
      の皆様から候補者に「議員報酬を削減し、被災者支援や中小企業支援へ」
      と問うてみてはどうだろうか。



2011/4/12「大震災から1ヶ月

       昨日で3月11日に発生したマグニチュード9.0の巨大地震から1ヶ
      月が経過した。被害の全体像はいまだに把握されず、東北の被災地では今
      なお物資や燃料不足が続いている。また、本県でも矢板市とさくら市では
      断水が続いている。未曾有の災害である。
       昨日もマグニチュード7.0の地震が福島県の内陸で発生した。3月の
      巨大地震以降東日本で地震活動が活発化している。まさにパンドラの箱が
      開いてしまった感がある。いつまで続くか分からない地震と、それに伴う
      津波の恐怖が復旧の妨げになっているのも事実であろう。
       原発事故に関しては、天災というより人災といった感じがする。原発の
      安全性を唱えていた原発推進派も、この大事故を前に何も言い訳すること
      はできないであろう。放射能の問題は長期化する。海に垂れ流した汚染水
      の影響がどうなるのか、降り注いだ放射性物質の土壌や作物などに与える
      影響は今後どうなるのか、政府には長期にわたって監視をして、国民の安
      全と安心を保証して欲しい。もちろん、市政レベルでも市民の安全と安心
      を守ることが必要である。
       国政ではこの国難を前にしても政局ありきの報道が聞かれる。自民党は
      管政権の対応の不手際を非難しているが、原発問題に関して言えば、これ
      まで原発を推進してきた責任は自民党にあるのではないか。ならば、自民
      党は積極的に原発事故対応に協力すべきだったといえる。日本だけでダメ
      なら世界の力も借りて、原発問題をとにかく収束させる方向に一日でも早
      く持って行って欲しい。



2011/3/31「災害と選挙

       明日から統一地方選挙がはじまる。被災地ではいまだに物資が不足し、
      不自由な生活が続いている。そのようななかで行われる選挙のため、各地
      で自粛ムードが広まった。本市でも、遊説車の使用自粛が3月議会最終日
      に申し合わせとして決められた。申し合わせのため拘束力はないが、ガソ
      リン不足が続く被災地のことを考えると、遊説車の使用も控えるであろう。
       災害対策・防災行政がひとつの争点になるであろうが、私は昨年の6月
      議会で、本市地域防災計画にある想定地震の問題点を指摘している。想定
      地震による被害の見積もりは県単位で行われている。本市は宇都宮直下型
      地震の想定のみであるのに対し、太田市など群馬県では、足利市との県境
      を震源とする想定も行われている。災害に県境はないが、こうした違いは
      縦割りの弊害といえよう。
       このような指摘は、地震予知研究の経験からきているものである。今後
      もそうした知識や経験を生かし、本市のみならず、日本の復興のために尽
      力したい思いである。



2011/3/22「統一地方選挙、今一度考え直すべきでは

       来月予定されている統一地方選挙について、東日本大震災で甚大な被害
      を受けた自治体に限って延期させる特例法が国会で成立した。この被害の
      甚大さ、福島原発に残る不安、さらに燃料をはじめとする物資の供給不足
      は岩手・宮城・福島の3県以外でも広がっている。今日本は、特に東日本
      は「選挙どころではない」という状況なのではなかろうか。
       11日の地震発生以降、私も後援会活動を自粛している。本市でも瓦屋
      根の破損をはじめとする物的被害が出ている。また、福島県からの被災者
      の受け入れも始めた。原発問題では放射能汚染が拡大しつつある。21日
      には茨城・栃木・群馬・福島県のホウレンソウ、カキナと、福島県の原乳
      について、出荷制限の指示が出された。最悪の場合、本市も自らの避難を
      考えなければならない。国難を前にして今やるべきことは何なのか、国会
      議員の先生方にはぜひとも再考をお願いしたい。



2011/3/14「東日本大震災、激甚災害

       3月11日午後2時46分頃、三陸沖から茨城県沖にかけての太平洋沿
      岸で発生した巨大地震は、マグニチュード9.0に訂正された。地震によ
      る津波は多くのまちを飲み込み、いまだに被害状況の全容は明らかになっ
      ていない。戦後最悪の激甚災害である。甚大な被害にあわれた方々に、心
      からお悔やみを申し上げます。
       地震発生時は、議会の予算審査特別委員会が開かれていた。経験したこ
      とのない大きな揺れに、「ただ事ではない」ことを直感した。委員会はそ
      の場で中断され、行政は即座に災害対策へと移行した。議員もそれぞれの
      地元に戻り、見回りを行った。旧西小地区でも壁が崩れ道をふさいでいた
      り、屋根の瓦が崩落していたりしていた。しかし、私が見回った範囲では、
      幸いけが人はいなかった。高齢者の方々も「これまでに経験したことがな
      い」と口をそろえていた。

       この地震は東北地方太平洋沖地震と命名されたが、被害は東北地方だけ
      でなく、北海道から関東地方の広い範囲に及んでいる。まさに国家的な非
      常事態である。仙台周辺には私の友人知人も数多く住んでいて、いまだに
      連絡が取れない友人もいる。
       今はまさに国家的危機である。今日から計画停電も予定されている。来
      月に統一地方選挙が予定されているが、選挙どころではないのではないか。
      国を挙げてこの難局に取り組まなければならないのではないか。自分にで
      きることは何か、自分がすべきことは何か、今いろいろ考えている。



2011/2/7「河村劇場の勝利と地域主権

       昨日投開票が行われた名古屋市長選挙と愛知県知事選挙で、河村たかし
      前名古屋市長が再選され、河村氏と連携する大村秀章氏が愛知県知事選挙
      で当選した。また、同時に行われた名古屋市議会の解散の是非を問う住民
      投票で議会の解散が決まり、河村氏はみごとに完勝した。
       恒久減税や愛知県と名古屋市の一体化による中京都構想、そして何より
      も河村氏の掲げる地域政党「減税日本」が、既存政党への不満の受け皿に
      なったことが勝因と考えられる。この選挙結果は地域主権への流れを大き
      く加速させる可能性がある。また一方で、知事や市長といった首長による
      地域政党は、議会のオール与党化、首長独裁政治の危険性をはらんでいる
      ことに注意したい。議会のオール与党化は、自民党政権時代への逆戻りで
      ある。首長の支援を受けて当選した議員は、首長のイエスマンでしかなく、
      昔の首長と議会の関係に戻ってしまう。
       改革派の首長に対して真に地域主権を担える議会をつくり得るのは、親
      市長派でも反市長派でもない、市民と向き合える市民派の議員である。4
      月の統一地方選挙では、真に地域主権を担える人物を選べるかどうかが、
      その地方の将来を決めることになるであろう。



 2010/12/27「独裁政治への入口か?−危険な地域政党−

       来春の統一地方選に向けて埼玉県内の4市長が地域政党「埼玉改援隊」
      を結成するという。さいたま市の清水勇人市長、松本武洋・和光市長、高
      畑博・ふじみ野市長、小島進・深谷市長、いずれも1期目の市長である。
      4市とも来春の統一地方選で市議選が予定されており、独自の候補者を擁
      立したり、賛同する候補者を支援したりする方針らしい。地域政党という
      と、橋下徹・大阪府知事を代表とする「大阪維新の会」、河村たかし名古
      屋市長が代表の「減税日本」がある。いずれも知事や市長などの首長主導
      による動きである。
       私が1期目の2005年に、6名の議員で両毛鴻志会(りょうもうこう
      しかい)という会派を結成したことがある。この会派が目指したところが
      まさに地域政党であった。両毛と名乗ったのは足利市だけでなく、他の両
      毛五市にもその輪を広げるつもりだったからである。残念ながらその夢も
      2年で潰えてしまった。この両毛鴻志会は議員による地域政党を目指した
      ものであり、知事や市長などの首長主導のそれとは根本的に異なるもので
      ある。中央の政党に縛られない地域政党の動きは、地域主権に向けた新し
      い政治の胎動を感じる。しかし、首長主導は独裁政治への危険もはらんで
      いることを注意しなければならない。大阪府も名古屋市も、そして今回の
      埼玉県内4市の動きも皆、首長に賛同する議員を誕生させることを目的と
      している。一見、首長の強いリーダーシップのようにも見えるが、それは
      独裁政治の入り口でもある。議会の過半数を親市長派議員が占めれば、首
      長の議案は何でも通ってしまう。これは首長と議会がお互いを牽制し、権
      力のバランスを考えた二元代表制の趣旨ともずれてしまう。
       議員は本来、親市長派でも反市長派でもなく、市民の代弁者である市民
      派のはずである。両毛鴻志会は千人以上の行政スタッフに支えられた市長
      に対し、賛成すべきは賛成し、反対する場合もただ反対するのではなく、
      対案を示すことを目指していた。市長も議会もお互い切磋琢磨してこそ、
      本当に市民のためになる政治が実現すると考えている。首長独裁政治の門
      戸を開く今の地域政党には、十分注意を払って欲しい。そして、マスコミ
      もその点をぜひ報道して欲しい。



 2010/11/15「国を守るということ

       多くの国民は一連の尖閣諸島問題に対する政府の対応に不満を持ってい
      る。そのことが管政権の支持率急落にも表れている。しかし、国会の論争
      は的を射ているとは思えない。もっと国を守ることに関して根本的な議論
      を今こそ行うべきである。例えば、中国が軍隊を使って尖閣諸島を占領し
      たら日本はどう対応するのか?「そんなことあり得ない」は外交では通用
      しないことを分かっているはずなのに、今の国政は全く持って国を守るこ
      とに対する危機意識が欠如している。
       「宣戦布告」といった映画がある。これは外国の武装集団が日本に不法
      侵入した際の日本の対応を描いた作品である。今の憲法ではこうした侵略
      に日本はなすすべがないことがよく分かる。「そんなことあり得ない」と
      いった発想は捨て、あらゆる事態を想定しておかないと、いつの日か本当
      にこの国は外国に侵略されてしまうかもしれない。
       今こそ、国会だけでなくマスコミも“有事”に関してもっと国民に喚起
      して欲しい。憲法第九条がすばらしい憲法であることはわかる。しかし、
      外国は日本のようにお人好しばかりではない。話して分かる相手なんてい
      ないぐらいに考えてちょうどいいくらいである。国民の生命財産を守るた
      めに政治は何をすべきなのか?国会議員はその本質的な問題に今こそ取り
      組んで欲しい。



 2010/11/01「事業仕分けの成果と限界

       国の事業仕分け第3弾(前半)が先月末に実施された。今回は特別会計が
      対象となった。2010年度の一般会計歳出の当初予算が約92兆円であ
      るのに対し、特別会計は約176兆円である。特別会計は国民の目も届き
      にくく、政権交代により大幅な歳出カットを期待していた。しかし、現実
      は厳しかったようである。
       民主党は2009年衆院選マニフェスト(政権公約)で、一般会計と特別
      会計を合わせた国の総予算207兆円を組み替え、4年間で16・8兆円
      の財源を生み出すとしていた。しかし、昨年秋の仕分けなどで削減できた
      のは2・3兆円に過ぎず、マニフェストの実現はかなり厳しいと感じる。
      一方、国の借金は2010年度末には970兆円を超え、空前の1000
      兆円に迫る見込みである。
       こうした莫大な借金を抱えて、いったいこの国はこれからどうなってし
      まうのか、不安に思うのは私だけではあるまい。国の借金返済については
      ある日突然の金融封鎖で、国民の私有財産による補填を予測している人も
      いる。しかし、その前に悪役となっている官僚の人たちに問いたい。あな
      たがたも日本国民のはずだ。こうした国の危機に対してやるべきことは何
      なのか?それでも、国民に負担を強いて自分たちだけはいい思いをしたい
      のか?しかし、「初心に返れ」と言ったところで、もはやその言葉が届く
      こともないであろう。
       無駄な予算はまだまだたくさんある。これらを国民に知らしめた事業仕
      分けの成果は評価できる。しかし、それが本当にカットされなければ意味
      がない。マスコミには廃止されるまで追い続けて欲しい。そうしないと、
      いつの間にか復活してしまうのがこれまでで証明されている。民主党には
      今一度だけ期待みよう。



 2010/10/18「尖閣諸島問題にみる日中の対応

       尖閣諸島は日本の領土であるにもかかわらず、その海域に海底資源が発
      見されると、中国だけでなく台湾までもその領有権を主張するようになっ
      たというのが、おそらく多くの日本人の認識であろう。
       今回の日本領海内における中国漁船の違法操業問題は、外交問題として
      大きくなっている。昨日は中国国内で大規模な反日デモがあった。日本料
      理店を襲撃し略奪したり、日本製の自動車を破壊するといった行為をみる
      と、哀れにさえ感じてしまう。日本人のなかにも過激な人はいるであろう
      が、略奪といった行為にまでは至らないであろう。
       中国は日本を抜いて世界第二位の経済大国であるにもかかわらず、国際
      社会における信頼は相当低いと思われる。今回の事件に関連したレアアー
      スの輸出制限などは、国際的な取り決めに抵触する恐れもある。そのよう
      なことを平気でやってしまうようでは、他国からの信頼など得られるはず
      はない。著作権の意識がないさまざまなパクリも同様である。また、先日
      の中国民主運動家へのノーベル平和賞受賞に対するノルウェー国批判も的
      はずれである。
       アメリカのある経済アナリストは、中国の隆盛は長続きしないと予測し
      ている。日本企業もより安い労働力を求めて、中国から東南アジアへとシ
      フトしていく可能性も考えられる。中国はその人口規模から、確かに魅力
      的なマーケットである。しかし、危機管理の視点からは、中国との関係を
      薄めていくことが、今後必要になってくるかもしれない。「おごる平氏は
      久しからず」のような文言は中国にあるのだろうか。



 2010/8/19「誰のための議会、誰のための政治なのか

       今月17日、名古屋市では市議会の解散請求(リコール)書が市選挙管
      理委員会に提出され、議会解散への動きが本格化した。その中心人物は河
      村たかし名古屋市長である。河村市長は市民税10%減税と地域予算の使
      い道を決める地域委員会継続の公約や、議員報酬を半減の800万円とす
      る政策が議会によって阻まれていると指摘している。こうした状況を打開
      するための市議会解散請求である。一方、当の市議会は市長主導のリコー
      ルは、首長と議会が対等な2元代表制を覆す行為であり遺憾、としている。
       河村市長の「税金を払う方が苦労し、税金で食う方が楽をする政治を変
      えたい」との発言には同感もするが、考えさせられる点もある。現在地方
      議会でも、議員報酬のみで生計を立てている専業議員が増えている。そう
      した現状をいきなり日当制にするのは無理があろう。もし、日当制にすれ
      ば大幅な歳出削減につながる。しかし、議員に立候補できる人は、資産家
      や比較的自由度の高い自営業者、定年退職者などに限られてしまうおそれ
      がある。また、「市民による議会」を目指して主婦や学生など幅広い層に
      よる議会を想定するなら、議会の開催を平日の夜や土日にするなどの変更
      以外に、よりお金のかからない選挙を実現させる必要がある。さらに、広
      範囲にわたる議案を、果たして片手間の議員で本当に掘り下げた議論がで
      きるのか、といった疑問もある。
       市長主導のリコールを行うなかで、「税金を払う方が苦労し、税金で食
      う方が楽をする政治を変えたい」と言うなら、それを実現させるための議
      会のあり方、地方自治のあり方、そして、市民のあり方も同時に考えなく
      ては、単なる議員たたき、公務員たたきであり、結果として市長の独裁を
      強めるだけになってしまうのではないか。河村市長には長期的なビジョン
      もぜひ示して欲しい。

       一方、鹿児島県の阿久根市では16日、竹原信一市長のリコール手続き
      に入ったとの報道がなされた。こちらは独裁的な市長に対するリコールの
      動きである。しかし、一般市民と比較して高額な市職員の給与を明らかに
      し、人件費削減などの政策を評価する市民もいる。阿久根市でも根幹にあ
      るのは議員報酬や公務員給与への市民の不満であり、「税金を払う方が苦
      労し、税金で食う方が楽をする政治を変えたい」につながってくる。しか
      し、それが単にひがみやっかみのレベルであるなら、結局何も変わらない
      であろう。名古屋市同様、阿久根市の今後の動向も注目していきたい。

       上記の例はまさに今、日本の政治のあり方が大きく変わり始めているこ
      とを示していると私は考えている。地方分権から最近は「地域主権」と言
      われるようになってきた。しかし、現状の地方政治の能力では権限委譲さ
      れてもまっとうな政治が行えないのではないかといった声もある。また、
      強い地域と弱い地域の格差が大きくなり、今以上の格差社会になってしま
      う可能性を指摘する声もある。
       地方議会・地方自治のあるべき姿としては、前述したような「市民によ
      る議会」といった方向性以外に、議員数を大幅に削減し、より専門性のあ
      る議員による議会、さらに、海外でみられるような議院内閣制(日本の国
      会のような仕組み)などが選択肢として考えられる。自分たちのまちをど
      のようにして運営していくのか、地方自治のあるべき姿は、市議会や県議
      会、ましてや総務省が決めるのではなく、そこに住む住民が責任をもって
      決める必要性がある。また、そうしなければ真の改革は実現しない。



 2010/7/12「参議院選挙の結果から考えること

       昨日投開票が行われた参議院選挙では、政権与党の民主党が敗北し、野
      党の自民党が勝利を収めた。これにより、現状の与野党勢力では衆参ねじ
      れ国会となる。
       昨年の夏に歴史的な“政権交代”が起こり、民主党政権が誕生した。そ
      のとき国民は腐敗した自民党政権にノーをたたきつけ、未知数ではあるが
      民主党に期待した。しかし、たった10ヶ月で今度は民主党政権にノーを
      示した。これは管総理の消費税発言の影響もあるが、鳩山前政権への大き
      な失望感が、今回の参議院選挙の結果として表れたのであろう。そして、
      その失望感は単に民主党に対するものではなく、政治そのものへの失望感
      だと考えている。今、自民党政権に戻れば生活が良くなると考える国民は
      皆無であろう。また、今回躍進したみんなの党が政権を取ればこの国は良
      くなると思っている国民も少ないであろう。本当に埋蔵金は掘り出せるの
      か?民主党ができなかったことをみんなの党ならできる根拠はどこにある
      のか?野党であれば、大きなこと言っても責任は生じない。しかし、それ
      では仮に政権交代が起きても民主党と同じである。
       マニフェスト選挙は、「言葉に責任を持つ政治」を実現することが本来
      の目的であったはずである。しかし、選挙になるとマニフェストとは名ば
      かりで、中身は旧来からの公約(何でもやりますの口約束)と何ら変わり
      なくなってしまった。マニフェスト型の選挙とはどういう選挙なのか、今
      一度見直す必要がある。
       民主党は初めて政権を取ってからまだ1年も経っていない。その段階で
      ノーをつきつけるのも酷に思える。民主党には政権与党として、昨夏衆院
      選時のマニフェストをもう一度見直し、できないものはできないと認め、
      国民に謝罪することで出直して欲しい。各マスコミには、これまでのよう
      な民主党はダメだと国民を煽る報道ではなく、建設的な姿勢を取って欲し
      い。そして、野党には徹底的なムダ削減と国会議員定数削減を実現すべく、
      民主党に対して欲しい。



 2010/5/31「言葉に責任を持つ政治、普天間移転問題の迷走

       米軍普天間基地の移転問題について、鳩山首相自らが設定した5月末の
      期限がきた。結局、辺野古周辺への移転となり、「最低でも県外」といっ
      た約束は守られなかった。また、辺野古移転を受け入れられない社民党は、
      連立政権から離脱することとなった。大臣を罷免された福島党首は「言葉
      に責任を持つ政治」を主張していた。
       言葉に責任を持つ政治、マニフェスト型の選挙とはまさにそれを目指し
      ていたものであった。しかし、鳩山首相は希望的観測のみで約束してしま
      ったため、県外移転の約束を守ることができず、結果、マニフェストその
      もののイメージが悪くなってしまった。小泉元首相も国債発行30兆円以
      内の公約が破られたときに、「たいしたことではない」と開き直ってしま
      った。問題は我々国民がそうしたウソつきや無責任な姿勢を追求せずに、
      上っ面のイメージや人気におどらされて、こうした政治家を退場させるこ
      とができなかったことにある。ウソをついてもしらを切り通せる人、うま
      くごまかせる人こそ政治家に向いている、などと言われるようでは、この
      国もおしまいである。
       私も一政治家として「言葉に責任を持つ政治」を心掛けてきた。そして
      選挙でお約束した定期的な活動報告や政務調査費の公開、市民との直接対
      話の場を設けるといったことを実行してきた。しかし、そうした「言葉に
      責任を持つ政治」よりも、巧言令色とでも言おうか、上っ面のきれいごと
      を言い、見せかけのパフォーマンスを気にしていたほうが、受けがいいよ
      うに感じる。「言葉に責任を持つ」ことは、政治家としては不向きなので
      あろうか。



 2010/5/17「今夏参院選も有名人・タレント候補が乱立

       今夏参院選に向けて、各政党から次々と有名人・タレント候補が名乗り
      をあげている。特に参議院選挙では、これまでも多くの有名人・タレント
      候補が出馬しており、取り立てて珍しいこととではない。しかし、国民は
      本当に有名人やタレント達に国会議員になって、この国の舵取りを任せた
      いと思っているのであろうか。
       国会議員の定数は、衆議院が480人で参議院は242人、合計すると
      722人にもなる。果たしてこれほどの国会議員が本当に必要なのであろ
      うか。末端の市町村会議員は平成の大合併もあり、61,595人(平成
      10年4月1日現在)から、38,356人(平成19年4月1日現在)
      と、2万3千人以上の削減がなされている。平成の大合併が行われた背景
      には地方分権の推進があったはずである。ならば、国の仕事が減るのだか
      ら、国会議員の定数も削減しなければおかしい。地方分権を実現させるに
      は、国会議員の削減が必要不可欠である。
       こうした我が身のことについては国会議員は手をつけない。本市は合併
      こそしていないが、前々回、前回と議員定数を削減し、来年の選挙でもさ
      らに議員の定数を削減する予定になっている。国会でも議員定数が減れば、
      客寄せパンダ的な候補者は必要なくなるであろう。今夏の参院選では、各
      党の選挙公約に、国会議員の定数大幅削減が打ち出されているかどうかを
      注目してみてみたい。



 2010/4/19「アイスランド火山噴火の影響

       先週14日に、アイスランド南部のエイヤフィヤトラヨークトル氷河の
      火山が噴火した。この噴火の影響で、英国をはじめとする欧州各国では空
      港の閉鎖が続いている。欧州から戻れない日本人、逆に日本から欧州に戻
      れない人々もいる。その影響は世界に広がっている。
       今年に入ってハイチやチリなどで大きな地震が発生している。先週には
      中国青海省で大きな地震が発生した。こうした地震や今回の火山噴火など
      を太陽の黒点活動と結びつける学者もいる。その真偽は別にしても、自然
      の猛威に対し人間は無力であることを痛感させられる。
       今回の噴火により、空の交通網は大打撃を受けた。国際航空運送協会に
      よると、航空産業の減収は1日当たり少なくとも2億ドル(約185億円)
      に達するという。経済活動にはかなりの損失になるが、飛行機の欠航は地
      球温暖化防止(二酸化炭素排出抑制)には大きな貢献となる。しかし、こ
      うした点からの報道はいまのところ目にしない。
       私は「地球を守れ」といった類の言葉が非常に嫌いである。人間は地球
      に守られているのであって、人間は決して地球を守ることはできない。こ
      うした傲慢な考え方をしている限り、世界レベルの問題が解決される日は
      こないであろう。今回の火山噴火が、そうした傲慢さを考え直すきっかけ
      になって欲しいと願うばかりである。



 2010/2/15「これからの地方議会に求められるもの

       名古屋市の河村たかし市長は、地域委員会(仮称)の設置を目指してい
      る。地域委員会とは、市内を小学校区または中学校区で分け、各地区ごと
      に委員を選挙で選び、地区の問題は地区で解決してもらおうというもので
      ある。予算づけもされ、まさに、地方版地方分権ともいうべき構想である。
       この構想には議会が反発しているようだ。もし、地域委員会ができたな
      ら、議員の仕事は地域委員会に取って代われられる可能性がある。そうな
      ると、市議会の存在意義そのものが問われることになってしまうからだ。
       私は地区単位でまちづくりを考えること自体は賛成である。議会一般質
      問でも取り上げたネットワーク型コンパクトシティ構想に合致するからで
      ある。ただ、側聞した限りにおいて、河村たかし名古屋市長の考え方では、
      市長独裁につながる危険性を感じている。

       先月東京で開かれた政策懇談会「ニセ議会基本条例を斬る2」では、地
      方議会議員は国会議員とは異なり、その代表権は限定的であるとしていた。
      われわれ一般国民が国会議員をリコールすることはできないが、地方議員
      の場合はそれが可能だからである。したがって、地方政治においては、住
      民がもっと直接関与できるようにすることが必要なのかもしれない。
       私は二期目の公約として、市民との直接対話の場を設けることを約束し
      た。そして年4回オープンミーティングを開催している。しかし、オープ
      ンに呼びかけているとはいえ、他の議員を支持している市民が参加しにく
      いのも事実である。このような直接対話の場を議会として設けられれば、
      議員の質も向上するであろうし、住民ももっと自治に関心を持つようにな
      るであろう。これからの地方議会に求められていることとして、まずは、
      住民との直接対話の場を設けるべきであると考える。



 2010/1/17「阪神・淡路大震災から15年

       今日で阪神・淡路大震災から満15年をむかえた。死者6434人、負
      傷者4万3792人(兵庫県発表)の大惨事は、私の記憶にもはっきりと
      刻まれている。ここ数日は、新聞やテレビでも多くの特集や特番を組み、
      様々な角度からこの震災を扱っている。また、現地時間12日にハイチで
      発生した地震(マグニチュード7.0)では、死者が20万人に上る可能
      性が高いとの報道もある。社会情勢による被害の拡大もあるが、あらため
      て地震の恐ろしさを感じたところである。
       1995年はボランティア元年ともいわれ、日本にボランティア活動が
      広まるきっかけともなった。被災地における救助活動や緊急的な支援は、
      ボランティア活動によるところが大きい。一方、被害を少なくするための
      防災は、この15年でどれだけ進んだのであろうか。古い家屋の耐震化は
      なかなか進んでいない。特に学校施設の耐震化については、政権が交代し
      ても後退させてはならない事業であると考えている。また、防災意識につ
      いてはどうであろうか。近い将来の大地震が指摘されている地域と、足利
      市のように比較的自然災害の少ない地域とでは、おそらく差があるのでは
      ないかと思う。こうしたことも今後調べてみたい。
       政治の大きな使命は、国民の生命・財産を守ることにある。その点から
      地震を考えた場合、防災は国防と解釈することもできよう。また、建築物
      やライフラインの耐震化などは、公共事業として考えれば、景気対策にも
      つながる可能性も考えられる。
       日本に住んでいる以上、地震とともに暮らしていかなければならない。
      その地震について、どれだけ正しい知識が普及しているのか、学校教育か
      らあらためて見直してみるべきである。



 2010/1/4「2010年、新年のご挨拶

       一昨年から続く不況から脱することなく新年を迎えた。景気回復が望ま
      れるものの、日本の借金増には不安が残る。また、経済の活性化が自然環
      境に与える影響も懸念されるところである。そのようなジレンマをどのよ
      うにして克服していくのか、今年は本気で考えなければならない年になる
      かもしれない。
       さて、政治に目を向けると、今年は参議院選挙がある。民主党政権に代
      わってから最初の国政選挙となる。民主党が支持されるのか否か、今後の
      日本を占う大事な選挙である。本市では、来年度予算が新市長による最初
      の予算となる。事業仕分け等によって10億円を捻出し、新たな施策に充
      てるといった選挙公約が守られるのかどうか、注目すべき点である。

       昨年の12月議会では、人口減少社会におけるまちづくりに焦点をあて
      た質問を行った。本市は国に先駆けて人口減少社会に突入している。本市
      が人口減少社会から持続可能な社会への転換をはかることができれば、全
      国の手本となる。非常に難しい問題ではあるが、先を見越して手を打って
      いかないと手遅れになってしまう。今年は持続可能な社会への転換を念頭
      に置いて、市内各地域の現状を調査していきたいと考えている。



 2009/12/14「見せかけのエコ」

       先週12日、東京で開かれた日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ
      2009」に行ってきた。今や企業も環境を配慮しなければ、企業として
      認められなくなってきていると感じたところである。
       自然環境の保護、自然との共生、限りある資源を大切に、といったこと
      については、もちろん賛同する。しかし、今日本で流行しているエコ活動
      は、決してこれらのことを考えてるとはいえないと感じている。例えば最
      近コマーシャルでもよく目にするようになったLED(発光ダイオード)
      がある。これまでの白色灯や蛍光灯に比べ、消費電力が少なく長持ちする
      というものである。もちろん価格も高いが、消費電力が抑えられ長持ちす
      る点は評価できる。さて、ここで気になるのが、今や冬になると全国各地
      で行われているイルミネーションだ。「LEDに代え、環境にも配慮」な
      どと、TVニュースに流れることもあるが、たとえ消費電力が5分の1、
      10分の1に抑えられたとしても、その数(量)が5倍、10倍になった
      ら、意味がないのである。1990年に全国でどれだけのイルミネーショ
      ンがまちを明るくしていたのだろうか。今はどうであろうか。正確な数字
      はわからないが、個人家屋でもイルミネーションをしている今は、10倍
      どころか100倍以上になっているのではないか。いったいこれのどこが
      エコなのであろうか?こうしたことに疑問を投げかける声を聞くことはな
      い。もちろんマスコミも取り上げない。自分に都合のいいところだけ取り
      上げて「環境に配慮」などといわれても、地球は人間の都合を聞いてはく
      れない。
       経済活動は人の生活を豊かにしたわけで、それ自体を否定するつもりは
      ない。ただ、本当に地球環境のこと、人類の存続を考えるのなら、何度も
      主張しているが、ものごとの「本質」を見抜かなければならない。見せか
      けのエコは人間のエゴでしかない。



 2009/10/5「報道に疑問、民主党政権発足後のこと」

       民主党新政権が始まってから3週間ほどになる。連日の報道をみると、
      既に政権批判が繰り返されているようにも感じる。特に八ツ場ダム問題で
      はそれが顕著である。例えば、9月24日付読売新聞の社説では「八ッ場
      ダム中止 公約至上主義には無理がある」として、始める前から公約達成
      について異を唱えるという、自民党政権下では考えられなかったような姿
      勢を示している。
       確かに政権公約(マニフェスト)に掲げたことすべてに賛成して、民主
      党に一票を投じた人はごくわずかであろう。ただ、全国紙の社説で公約を
      守ることを頭から否定するような記事を書くのはいかがなものかと思う。
      八ツ場ダムを中止した際の問題はいろいろある。しかし、世論に影響力を
      持つマスコミが、問題点ばかりを強調しているのは、政権つぶしを誘導し
      ているように感じてしまう。八ツ場ダム問題でマスコミがすべきことは、
      これまでの日本の公共事業政策そのものの問題点を浮き彫りにし、今後の
      あり方について、国民全体で議論するような素地を作ることではないかと
      思う。
       政権交代が普通に行われているアメリカでは、100日ルールというも
      のがある。これは、各報道機関が大統領就任から100日間は、政権交代
      の準備期間として、優しく見守るというものらしい。鳩山政権誕生が9月
      16日だから、上記の社説は10日もたたないうちの政権批判である。日
      本のマスコミは、国の借金を800兆円以上にしてしまった政治にまた戻
      すことが、日本にとっていいことだと思っているのであろうか?そうでは
      ないというのなら、もう少し前向きな報道を心がけてもらいたい。



 2009/8/31「政権交代!日本は新時代へ」

       民主党が圧勝し、政権交代が実現する。国民は自公連立政権にNo!の
      審判を下し、民主党中心新しい枠組みを選んだ。民主党に政権を担ってい
      く力が本当にあるのか、不安を抱く国民も少なくないであろう。しかし、
      それ以上に自公連立政権はもうイヤだ、という思いのほうが勝っていたか
      らこそ、この結果になったと推測している。国民は日本国の株主総会で経
      営陣を交代させたわけだ。
       今回の総選挙はこれまで以上に、各党のマニフェストが注目された。し
      かし、財源が不明瞭な状態でのバラマキ感があったのも事実であり、今後
      の課題といえる。マニフェストとは、民主主義が正常に機能していくため
      の道具である、と私は考えている。政治家はマニフェストで国民に約束を
      示し、有権者は選ぶ責任を自覚して一票を投じる。それによって、この国
      は良い方向へ変わると私は信じている。しかし、そうした流れは始まった
      ばかりである。バラマキ感のない財源がしっかりした内容、国民に負担を
      強いる場合も、はっきりとそれを示したマニフェストが作られてこそ、真
      のマニフェスト型選挙が実現する。しかしそれは必要条件であって、判断
      する国民が風に流されずに自ら考えて一票を投じ、その一票に責任が持て
      るようになってはじめて必要かつ十分な条件となる。

       地方選挙においても、マニフェストは今や当たり前になりつつある。し
      かしその中身は、相変わらず「あれもやります、これもやります」の公約
      (口約)が示され、政策論争にならない場合も少なくない。
       市民(国民)は、選挙時のマニフェストだけでなく、その後の政治にお
      いて、どれだけ約束が実行されたのかを検証することも忘れてはならない。
      そして、約束を破った政治家は、次の選挙で退場させることができれば、
      政治家もウソはつけなくなる。この点について、今回の総選挙では国民に
      ウソをついた元首相、途中で責任を投げ出した元首相を退場させることが
      できず、まことに残念である。この国が“正常な民主主義”の国になるに
      は、まだまだ時間がかかりそうだ。




  2009/8/24「30日は日本国の株主総会」

       衆議院選挙も中盤に入り、各新聞では独自の調査による情勢分析を報道
      している。300議席といった具体的な数字も示されてはいるが、勝負事
      は最後の最後までわからない。
       先日、ある候補者の立会演説を聞く機会があった。応援に駆けつけた弁
      士が「有権者は日本国の株主。しかし、大株主はおらず、皆が等しく一株
      を持っている。30日はいわば国の株主総会。今の経営陣を引き続き支持
      するのか、それとも退陣させて新しい経営陣に任せるのか、株主である皆
      様が決めるときです」といった主旨の話をしていた。
       もし、税金を多く払っている金持ちの有権者が大株主だったとしたら、
      金持ち優遇の世の中となり、庶民に光が当たる政治は実現しない。「たか
      だか一票を投じたところで何も変わらない」という方もいるが、皆等しく
      一票しかなく、その積み重ねで政治は動くのである。ぜひとも選挙を棄権
      することだけはやめてもらいたい。棄権したらそのあと始まる政治に注文
      をつける権利はない。今は期日前投票も簡単にできる。30日に投票に行
      けない場合は、期日前投票を利用してもらいたい。




  2009/8/17「いよいよ衆議院選挙!」

      30日投票の衆議院選挙が明日公示される。4年前の郵政選挙以来の総
     選挙であり、はじめて政権選択選挙の様相を呈している。また、各党のマ
     ニフェストに注目が集まり、本格的なマニフェスト型選挙にもなってきて
     いる。
      私はローカルマニフェスト地方議員連盟の一員として、微力ではあるが、
     マニフェストの啓蒙を進めてきた。したがって、これだけマニフェストが
     注目されることを喜ばしく思っている。しかし、その中身をみると、財源
     の根拠が示されずに「○○無料化!」といった国民受けを狙っているよう
     な文言が目立つように思われる。政権を担うというなら、場合によっては
     国民に痛みを理解してもらうことも必要であろう。ただし、それは徹底的
     にこれまでの税金のムダ遣いをなくしてからのことだ。現在の野党に対し
     ては政権を取ったらなら、まずはこの国の本当の財政を国民に情報開示し
     てもらいたい。どれだけ借金があるのか、どこにどれだけ税金が使われて
     いるのか、それらが明らかになるだけで、税金のムダ遣い排除へ大きく前
     進すると思う。また、現在の与党に対しては、これからの約束(マニフェ
     スト)を示す前に、これまでの4年間をしっかりと反省していただきたい。
     2人もの首相が途中で政権を投げ出した無責任さを、国民は決して忘れて
     はならない。そんな政党の責任力とはいったいどんな力なのだろうか。
      人間はある意味忘れる動物である。忘れることにより前に進むこともで
     きる。政治家はそうした習性を利用しているところもある。選挙の時だけ
     いいこと言って、当選してしまえばおかまいなし。公約は口約でしかなく、
     当選者に白紙委任をしていたのがこれまでの選挙である。しかし、それが
     この国を800兆円もの借金大国にしてしまった要因だとして、責任ある
     約束としてマニフェストが導入されてきたわけである。ウソをつく政治が
     悪いのはあたりまえだが、そうした政治家を許してきた有権者はもっと悪
     い。この国を借金大国にしたのも、官僚らに税金のムダ遣いをさせたのも、
     格差社会にしたのも、その元凶はウソをつく政治家を許してきた我々国民
     である。私たちは今こそそのことに気付いて、自らも責任を持って一票を
     投じるべきである。そして、政治家(政党)が言ったことを忘れず、もし
     ウソをついたなら、次の選挙でその政治家(政党)を落とす覚悟を持つこ
     とが肝要である。それができたなら、この国の将来は希望に満ちたものに
     なるであろう。




  2009/6/25「副市長を一名にする条例改正は
                適切であったのか」

      23日の市議会定例会本会議において、現行二名の副市長を一名とする
     条例改正が議員提案され、賛成多数で可決された。私は副市長制度が導入
     された平成18年12月議会において、本市人口規模では副市長は一名で
     十分との立場で、副市長を二名と定める条例案に反対した。行政のスリム
     化が叫ばれる現在においては、なおさら一名で十分といえよう。また、両
     毛六市においても、足利市を除く五市で副市長が二名いるのは佐野市だけ
     である。本市よりも人口が多い太田市でも一名である。こうした事実をふ
     まえれば、なおさら副市長一名にすべきであるといえる。
      しかし、今回の議員提案については反対した。なぜならば、大豆生田市
     長がなぜ副市長二名プラス特別秘書複数名の市長スタッフにしたいのかに
     ついて、具体的な説明がまだなされていなかったからである。反対するに
     しても、まずは市長の話を伺ってからというのが、順序というのものでは
     なかろうか。
      6月議会における市長答弁では「行財政改革を強力に押し進めるため」
     というのが副市長二名プラス特別秘書複数名の理由とされた。だが、どの
     ような業務があるのか、誰が携わるのかといった具体的な内容は全く示さ
     れなかったのも事実である。しかし、副市長等の人事については、9月議
     会初日に上程する予定であることが示され、その事前段階として、7月か
     8月には議会にその内容を示したいとしていた。議会としては、まずは、
     その内容を伺ってから、副市長二名の正当性について判断を下すべきでは
     なかったのか、と思っている。

      大豆生田市長は本議会において「お金がないなら知恵を出す」と何度も
     答弁していた。本市よりも人口が多い太田市では副市長一名であるにもか
     かわらず、さまざまな改革が実現おり、市民の期待が大きい大豆生田市長
     にもできないはずはないと思っている。
      例えば、組織改編をして、現在行財政改革を担当している課を廃止し、
     変わりに市長直属の行財政改革プロジェクトチームを作ることでも可能で
     はないかと考えている。民間の力としては、現存する行政改革推進委員会
     の改編で対応できるであろう。今でも11名中9名が民間人だが、場合に
     よっては、ここに市長推薦枠を設けてもいいかもしれない。委員会の発言
     力を強化したいなら、理事会などを設けて、行財政改革プロジェクトチー
     ムの会議には常に参加するようにすればいい。
      これはあくまで一例だが、「お金がないなら知恵を出して」行財政改革
     を強力に押し進めることも可能だと、私は考えている。

      行財政改革において、最も大変な作業になるであろう事業仕分け(行政
     の仕事のムダを洗い出す作業)は、市長答弁によると、民間のシンクタン
     クに委託するとことである。では、副市長二名と特別秘書複数名は何をす
     るのであろうか。事業仕分けされたものを実行していくのであれば、現行
     の組織体系でも可能なのではないかとも思ってしまう。
      行財政改革を断行するにあたっては、まずはどのような業務があるのか
     具体的な内容をはっきりさせる必要がある。次にその業務を遂行するには、
     どのような人材が適任なのかを見極め、そのあとに人選である。副市長二
     名と特別秘書複数名が本当に必要なのかどうかの検証もせずに、ポストあ
     りきの考え方は、それ自体が既にムダを抱えているのではなかろうか。




  2009/5/25「温室効果ガス排出量取引は
          地球温暖化対策とは別問題」

      二酸化炭素など温室効果ガス排出量削減の中期目標に関する世論調査の
     結果が24日に政府から公表された。2020年時点で1990年比4%
     増〜25%減とする6案のうち、「7%減」が4割強の最多の支持を集め
     た。環境のためなら自己犠牲もやむなしと思う日本国民もいるであろう。

      日本は京都議定書で2008年〜2012年の間、1990年比で6%
     の温室効果ガス削減を掲げている。達成できない場合は、他国から排出権
     を購入して穴埋めしようとしている。これにより1兆円からの資金が海外
     へ流出してしまうともいわれている。それでも環境のためなら、と思う国
     民もいるかもしれない。
      そこで考えていただきたい。地球温暖化問題は一国のみの問題ではなく、
     世界的に取り組まなければ解決できない問題である。日本が排出量の帳尻
     を合わせたところで、日本から排出された温室効果ガスは、1990年比
     増加であることに変わりはない。この約束は既に省エネを進めてきた日本
     にとっては不利なもので、外交上に失敗ともいわれている。
      京都議定書を離脱しても温室効果ガスを削減することはできる。「環境
     のため」といった錦の御旗に惑わされるのではなく、帳面上の数字合わせ
     のためだけに、1兆円からの資金が海外へ流出してしまうことの問題点も
     真剣に考えるべきである。




  2009/5/11「新市政の始動を前に」

      明日12日で吉谷宗夫市長が退任し、13日から大豆生田実新市長の市政
     がいよいよ始まる。大豆生田実新市長は、選挙後早々と市役所内を回った
     ようだ。この件については、新旧市長のブログでも触れられている。
      議会の動きについては、反新市長派で選挙を戦った方々が4月の末に会
     合を開いたようである。内容については詳しくわからないが、はじめから
     波風を立てるようなことはないと考えている。

      私自身は、基本的には新市長の改革路線を支持する立場である。これま
     でなかなかできなかったことにメスを入れることができるものと期待して
     いる。ただし、是々非々の立場は貫くので、納得のいく提案をお願いする
     ところである。また、私からの提案についても、真剣に考えていただきた
     いと思っている。




  2009/4/27「大豆生田実新市長誕生」

      昨日行われた足利市長選挙において、大豆生田実候補が飯野健一候補を
     破り新市長となった。

       大豆生田 みのる 44,401票
       いいの 健一   30,014票

      選挙戦を通しての雰囲気などから、大豆生田氏の勝利は予想できた。ま
     た、これだけの大差をつけたことに対しては、飯野氏を支援した議員さん
     も真摯に受け止めて欲しい。
      大豆生田氏にとっては、最後に天気までも味方した気がした。朝は雨で
     その後天気が回復したことも、58.86%(前回54.47%)という
     投票率に影響したものと考えている。
      市長の報酬カットやごみ袋の無料化など、両氏が掲げた選挙公約に大差
     はない。したがって、飯野氏を支援した議員も、選挙公約に則した新市長
     の提案に対しては、たやすく反対できないはずである。反市長派が過半数
     を占める議会への新市長の対応が注目される。

      私はこれまでも市長・行政当局に対して是々非々の立場をとっていた。
     自らが支援した市長が誕生したからといって何でも賛成ではなく、やはり、
     是々非々の立場を貫いていく。




  2009/4/13「次期市長選挙はフェアな戦いで」

      足利市長選挙の告示日まであとわずかとなり、立候補が予想される2陣
     営の活動も熱を帯びてきた。一方の陣営では、公職選挙法に照らし合わせ
     たときに控えた方がいいと思えるような行為が目立っている。しかし、選
     挙はフェアに行われるべきである。たとえ、公職選挙法には抵触しないと
     しても疑わしき行為は慎むべきである。
      自治会の回覧板を利用して立候補予定者のビラを配布する行為は、その
     候補者を支持しない世帯にも強制的に回覧されてしまう。これは選挙への
     拒否反応を促すことにもなりかねない。こうした行為は厳に慎むべきであ
     る。また、政治団体による街宣活動では、立候補予定者の名前が叫ばれて
     いるようである。名前を連呼すれば事前運動に該当する。こうしたぎりぎ
     りの行為も慎むべきであろう。さらに、立候補予定者の名前が入った顔写
     真入りのポスターを持って、街角に立っている人もいるという。こうした
     行為が公職選挙法に抵触するかどうかについては、現在選管から総務省に
     問い合わせているとのことだ。

      政治活動や後援会活動をすること自体には何ら問題はない。ただ、その
     行為が有権者の選挙離れに結びつくような行為であるならば、それは止め
     るべきである。選挙はやはり正々堂々と政策論争で行われるべきである。




  2009/3/23「マニフェスト型の選挙」

      本市においても、次期市長選挙から選挙期間中の文書図画の配布が可能
     になる。これにより、マニフェスト型の選挙になることも期待されるが、
     配布枚数は1万6千枚までと上限があり、また、単に文書図画の配布が可
     能になっただけなので、マニフェスト型の選挙になるかどうかは不透明で
     ある。

      その前に、マニフェストがどの程度理解されているのか、議員であって
     も正しく理解されていない方が見受けられるので、一般市民の方はどの程
     度理解されているのか、不安に感じるところでもある。
      マニフェストとは、これまでの何でもやりますの選挙公約とは異なり、
     財源や実施期間などにも言及し、より具体的に政策を示すものである。こ
     れにより、実行できたかどうかの事後検証が可能となる。約束を守れなか
     った場合は、次の選挙で交代してもらうというように、政策中心の選挙に
     なることが期待される。「行財政改革を断行します」や「・・・を検討し
     ます」といった表現では、何をどこまで達成できたかの検証が難しく、マ
     ニフェストとは呼べない。また、マニフェストは政権公約と訳されること
     が多いが、約束という意味合いから「市民との契約書」ぐらいに考えても
     いいのではないかと思っている。

      国政においては、政党が選挙で勝って与党になれば公約は実行できる。
     一方、地方では首長も議員も選挙によって選ばれる、二元代表制になって
     おり、首長がマニフェストを実現するには議会の議決が必要となる。また、
     議員提案についても、過半数以上の賛同が必要である。このように、国と
     地方では事情が異なるので、マニフェストを「政権公約」という場合は、
     国政において政党が掲げるものを指してのことと考えた方がいい。そのよ
     うな違いから、地方におけるマニフェストをローカル・マニフェストとし
     て区別することもある。
      地方政治では、どんなにすばらしいマニフェストが掲げられたとしても、
     それが実現可能なのかどうか、国政以上にその内容を吟味する必要がある
     といえる。最後はその人が信じられるかどうか、候補者の信頼性に関わっ
     てくるのかもしれない。




  2009/1/19「渡辺喜美元行革相に注目」

      先週自民党を離党した渡辺喜美元行革相が「脱官僚、地域主権で国民の
     手に政治を奪還する」ことを掲げ、新たな政策集団を結成した。定額給付
     金に関する国民の声に耳を傾けず、官僚天下りの繰り返しを認めてしまっ
     た麻生内閣に対して、離党という行動で自らの意志を示した渡辺代議士に
     は拍手を送りたい。もちろん、離党せずに党内で改革を目指す手もある。
     しかし、もはやそれは不可能と判断しての離党だったと推測している。
      今の麻生内閣はもはや国民にとってマイナスでしかない。国民の多くが
     疑問を抱いている定額給付金についても見直しをしようともせず、行政改
     革でなく消費税アップを優先させようとしている。そうしたなかでの渡辺
     代議士の反麻生の行動は「これぞ政治家」と感じてしまった。しかし、そ
     の輪は今のところ大きく広がる気配もなく、行き先が心配される。
      私は党利党略に関係ない今回の渡辺代議士の行動に賛同するひとりでも
     ある。「脱官僚、地域主権」を中心に、今後具体的にどのような政策を出
     してくるのか注目していきたい。




  2009/1/1「2009年、新年のご挨拶」

      昨年末からの雇用不安が解消されないままの年明けとなった。果たして
     世界的な不況から、本当に日本がいち早く脱出できるのか、そうあって欲
     しいと願う年の初めである。
      さて、今年は解散の有無にかかわらず衆議院選挙がある。また、足利市
     長選挙もあり、国にとっても本市にとっても大切な一年である。私は選挙
     に対する持論として、白票でもいいから投票すべきと考えている。確かに
     棄権も白票も選挙結果に対して直接的な影響を与えない点では同じである。
     しかし、棄権は意思表示ではなく、自らが持つ政治参加への権利放棄と考
     えている。一方、権利を行使する白票は、誰も支持しないという政治への
     意思表示であると考えている。誰が選ばれるにしろ、その後に行われる政
     治に対して、意見を言いたいのであれば、まずは自らが持つ選挙権を行使
     すべきである。選挙に参加もせずに政治に不満を言うのは無責任である。
      国においては、国民不在(選挙がない)の状態で、首相が3人も変わっ
     ている。これまでの政治と将来の政治に対して、自ら意思表示できるのが
     選挙である。衆議院選挙も足利市長選挙も、たとえ白票であっても投票だ
     けはして欲しい。それが政治参加へのはじまりであり、権力への監視につ
     ながると思っている。国をつくるのも街をつくるのも、我々国民・市民ひ
     とりひとりであることを忘れてはならない、と思う年の初めである。




  2008/12/24「吉谷市長勇退に思うこと」

      過日、吉谷市長が来年春の市長選挙に出馬しない意向を明らかにした。
     といっても、まだ任期は残っている。今は世界的な不況が影を落としてい
     る。最後まで全力で市政にあたっていただきたい。

      吉谷市長との最初の論戦は、市議会議員として初当選した最初の議会で
     あった。はじめから反市長派としてみられていたので、いい答弁は期待す
     ることもなかった。また、老練なその答弁には、うまくはぐらかされるこ
     ともしばしばあった。しかし、医療薬科系の新設大学誘致やごみ有料袋制
     導入など、いくつかの案件ではしっかりと反対した。大学誘致の問題は私
     が懸念していたとおり頓挫した。また、ごみ有料化問題もやはり開始前に
     「何らかのアレンジが必要」と、強引なやり方を自ら認めざるを得ない結
     果となった。そうした点ではたとえ反市長派といわれる私の意見であって
     も、もう少し耳を傾けて欲しかった。
      一方、2期8年の市政において、市債(市の借金)残高は平成15年度
     の1,193億円余をピークに減少へと転じている。私自身も「増え続け
     る借金」を何とかしなければ、という思いが市議出馬の動機でもあった。
     この点は吉谷市政の成果として評価したい。しかし、平成19年度までで
     およそ111億円減少しても、今なお、1,082億円余の市債が残って
     いる。この市債を減らす努力は次の新しい市政でも継続していかなければ
     ならない。

      吉谷市長には残りあと5ヶ月を切った任期において、最後まで市民にと
     って得か損かの立場で、この不況下、行政として出来うる限りの力を尽く
     していただきたい。もちろん、私も協力は惜しまない。




  2008/11/18「それにしても低い投票率
            −栃木県知事選挙−」

      先日の日曜日(16日)に、栃木県知事選挙が行われた。投票率は32.28%
     で、過去2番目の低さだった。足利市に至っては25.19%と、有権者の4
     人に3人もが棄権した結果となった。今回は現職の信任投票に近く、大き
     な争点も見あたらなかった。したがって、前々から低投票率が予想されて
     いたが、あまりにも低い結果であった。
      国政はマスコミが監視し、市政では市民の目が光っている。しかし、そ
     の中間にある県政は監視の目も甘く、関心も低いといえよう。また、今回
     の選挙のように大方結果がみえていると、なおさら関心は薄くなってしま
     う。だからといって、選挙権を行使しなくていいとはいえない。

      11,977票、2.30%、これは白票を含む無効票の数である。立候補者の
     いずれも支持しない、これも立派な意思表示である。ならば棄権だって意
     思表示だ、との声もあろう。しかし、選挙に行ったか行かなかったかで、
     全く意味が異なる。選挙の棄権は、これからの任期中に物申す権利すらも
     放棄することにつがっているように思える。一方、白票などは政治参加へ
     の意志表示といえる。国政でも市政でも民が主役というなら、まずは選挙
     に行くこと、せっかくの権利を大切にしたいものである。




  2008/10/6「政治家の鞍替え
         -東国原宮崎県知事は?-」



      自民党の中山前国交相の後継として、宮崎1区から次期衆院選出馬の打診
     が噂されている東国原宮崎県知事だが、県民の多くは「ノー」をつきつけた
     ようだ。テレビでのインタビューを見る限り、東国原知事自身は色気たっぷ
     りに感じた。しかし、宮崎日日新聞の緊急世論調査では県民の82%が国政
     転身に反対との事である。やはり一期途中での転身は“途中投げ出し”とい
     うことなのであろう。
      政治家は時として鞍替えをする。市政から県政へ、県政から国政へなどさ
     まざまである。こうした政治家の鞍替えは、より強い影響力を持って働くた
     めには必要なことと思っている。しかし、今回の宮崎県知事の場合はむしろ、
     “無責任”と県民には映ったのであろう。知事や市長は市議や県議に比べれ
     ば、絶大な権力を持っている。いわば地方の大統領である。しかし、国会議
     員といえどもやはり一議員であり、地方のために働くというなら、県知事の
     方が影響力は発揮できると思う。 
      また、政治家が鞍替えするときは、納得がいく大義名分が必要である。支
     持者だからといって「あの人のやることだから何でも賛成」では、その政治
     家自身が勘違いをしてしまう。政治は政治家の仕事である。しかし、その結
     果どのような国になるのか、まちになるのか、その最終的な責任は選ぶ側に
     あることを忘れてはならない。



  2008/9/2「福田首相、突然の辞意表明」


      昨晩、福田首相が突然辞意表明をした。内閣を改造してたった1ヶ月、臨
     時国会を前にしてのことである。安倍前首相に続いての政権放り投げで、無
     責任であることはいうまでもない。
      しかし、このタイミングでの辞任は、記者会見での民主党への恨み節を聞
     けば、福田首相なりに考えた末の結論であるように感じる。福田首相が言う
     ように、確かに審議拒否や日銀総裁人事などの民主党の対応は私も感心して
     いなかった。といっても、このまま総選挙になれば自民党が負ける可能性は
     高い。そこで、自民党政権を守るために、自らが犠牲になって民主党党大会
     の時期に合わせ、昨晩の発表になったと考えると納得がいく。新しい総裁で
     国民の関心や期待を集めた段階で、早期に総選挙を行えば今の自民党にも勝
     ち目はある。いや、それしか方法がないかもしれない。

      いずれにしても、解散総選挙は近いようである。自民党にはくれぐれも単
     なる国民の人気取りだけで総裁を選ぶのだけはやめて欲しい。また、民主党
     には政権を担えるだけの力があることを国民の前に示して欲しい。今の国民
     にとって最大の敵は悪徳官僚である。どの政党が政権をとっても、この悪徳
     官僚を成敗して、我々国民(庶民)が希望を持てる国づくりをして欲しい。



  2008/8/18「毒入りギョーザ事件後の食への関心」


      現在開催されている北京オリンピックでは連日日本選手の活躍が報道され
     ている。開会式では少女の歌、足形の花火、さらに56民俗の子供について、
     偽装というかやらせがあった。今回のオリンピックは、民族紛争や大気汚染
     なども含め、陰の部分が多い感がある。
      また、一時報道されなくなった毒入りギョーザ事件に関しても、中国国内
     で中毒事件があったことが判明し、中国国内での混入はほぼ間違いないであ
     ろう。本格的な捜査はおそらくオリンピック終了後になるかと思う。日本政
     府は今度こそ毅然とした態度でこの問題にあたって欲しい。

      さて、毒入りギョーザ事件を契機に食の安全への関心が高まり、国産指向
     が強くなっている。さらに原油高騰に伴う小麦製品などの値上げは、その傾
     向を後押ししている。日本の食品自給率は40%程度しかなく、多くの食品
     を輸入に頼っているのが現状である。一方で、食品のうちおよそ3割は食べ
     られずに廃棄されているともいわれている。まずは食品のムダをなくし、廃
     棄される量を減らすことを、家庭だけでなく流通の面からも見直すべきでは
     なかろうか。国産食品を廃棄せずに食べれば、それだけでも理論上、自給率
     は上がることになる。
      また、イギリスが行っているフードマイレージを導入してみたらどうかと
     思っている。フードマイレージとは食べ物が運ばれてきた距離のことで、そ
     れに重さを掛け合わせているようである。フードマイレージを表示すること
     で輸入品より国産のほうが、また、国産でも地元産のほうが輸送に係るエネ
     ルギー消費が少ないことがよくわかり、環境問題にも貢献できる。価格では
     ない価値基準もいろいろあるが、フードマイレージは数字で表されるのでわ
     かりやすいと思う。



  2008/7/18「大分県教員採用汚職事件と
                もたれ合い」



      何とも腹立たしい事件である。本来なら合格していたはずの受験生を不合
     格にしてまで自分の子を合格させたいなど、そんな教員に子供を教える資格
     などあるはずもない。こうした不正がまかり通っていたのは、やはり政治、
     今回は県議会が機能していなかったといえるのではないだろうか。といって
     も、県議の口利き枠があるともいわれているので、チェック機能を果たして
     いなかったこともうなずける。教育委員会と先生のもたれ合い、議員の住民
     のもたれ合い、そこに正義があるとは思えない。

      大分県の事件から当然のように他ではどうなのであろうか?との疑問を抱
     く。栃木県に関しては県議会議員にまかせるとして、足利市ではどうなのだ
     ろうか。職員採用や市営住宅の入居などに関して、これまでに議員の口利き
     がなかったといったら嘘のなるであろう。しかし、以前に比べればかなり公
     平になったのではないかと思う。ただ、新しい議員に対しては、市の職員も
     議員のコネは使えないと説明できるであろうが、古参議員に対しても同様の
     態度を取れているかどうかはまではわからない。

      議員を使って自分だけ得をしようという思い、それを利用して自分を支援
     してもらおうとする議員、どちらにも問題がある。こうしたもたれ合いの構
     造に起因する不正をなくすには、やはり情報公開を進めることである。不正
     をすればばれてしまう状況で、あえて不正をする人はそう多くはあるまい。



  2008/5/19「中国四川省で大地震
        −学校施設の耐震化は−」



      今月12日、中国四川省で大地震が発生した。地震の規模を示すマグニチュ
     ードは7.8から8.0へ修正された。死者も3万人を超え、まだまだ被害
     は拡大してしまうようである。

      今回の地震では学校が倒壊して生徒が生き埋めになるといった惨状が報道
     されている。そこで、学校の耐震化が問題視されたわけだが、わが国におけ
     る学校施設の耐震化率は、小中高の公立学校施設で58.6%といわれている。
     しかし、7割以上の学校が耐震強度を公表していないということで、実体は
     明らかとは言えないようだ。ちなみに本市小中学校の耐震化率は約58%で、
     ほぼ全国平均である。
      地方行政のなかで学校耐震化事業の優先順位は、全国的にみても決して上
     とはいえない。だが、いざとなったときに避難場所となるべき施設が十分な
     耐震強度を有していないとなると、市民は避難場所を失うことになってしま
     う。しかし、耐震補強工事はたいへんお金のかかる事業であるのも事実だ。
     といっても、本市のみならず地方自治体の多くは厳しい財政事情といえる。
     一方、国では税金の無駄遣いが連日報道されている。こうした無駄遣いをな
     くせば、もっと地方への補助ができるのではなかろうか。国会議員の皆さん
     にお願いしたい。




  2008/3/31「道路特定財源の暫定税率廃止


      年度末となる本日をもって道路特定財源の暫定税率が廃止される。ガソリ
     ンが安くなることは多くの国民が歓迎するところであろう。29,30日に
     朝日新聞社が実施した緊急世論調査では、08年度も暫定税率を維持する方
     針については賛成31%、反対55%とのことだった。

      足利市議会でも3月定例会にて「道路特定財源の確保に関する意見書」が
     提出され採決が行われた。私は10年間59兆円の維持はとても納得できな
     いので反対したが、市議会での採決を前に福田首相もこの点についての見直
     しや一般財源化を表明したので、少し拍子抜けした感がある。
      既に08年度予算を組んでしまっている地方での混乱は、多かれ少なかれ
     あるであろう。私の意見はその混乱を避けるために08年度は維持し、09
     年度からは暫定税率の廃止も含め、全面見直しをするというものだった。

      道路特定財源といいながら、道路以外の使途が次々と明らかになっており、
     不必要な天下り団体の整理なども含めて、徹底的に無駄遣いを洗い出せば、
     暫定税率を廃止してもこれまでの道路財源が維持できるのではないかと考え
     ている。08年度の道路特定財源(税収見込)は、国と地方あわせて約5兆
     4千億円で、そのうち暫定税率分が約2兆6千億円である。大きな額ではあ
     るが、少なくとも暫定税率の地方税分である約9千億円ぐらいの無駄遣いは
     余裕であると思っている。
      さらに、本当に必要な道路なのかどうかも(国民の目線で)精査すれば、
     2兆6千億円以上の予算は簡単に浮いてしまうとも思っている。そして、そ
     れを福祉や教育へ充てれば国民の幸福へつながると考えている(一部の政治
     家や官僚などにとっては不幸なことかもしれないが)。

 



  2008/1/3「問われる地方議会の存在意義


      昨年末、合併しない宣言で知られる福島県矢祭町の町議会が、議員報酬を
     現行の月額制から、議会に出席するごとに一定額を支給する日当制に変える
     方針を固めたとの報道がなされた。実現すれば、議会の人件費は現行の3分
     の1以下になる見通しという。

      矢祭町の日当制導入で、今年は地方議員のあり方を巡る議論に拍車がかか
     るのではないかと思われる。確かに、行政が出す議案を追認しているだけで
     あれば、地方議会自体必要ないといった意見があるのも事実だ。本市におい
     ても、議案が否決されることはほとんどない。昨年のごみ処理有料化につい
     ても、全市民に関わる問題であるにも関わらず、市民への説明がなされない
     まま、議会は通してしまった。はっきりノーと言える議会でなければ、意味
     がないと自ら思ってしまった出来事である。

      ただ、日当制になると専業化は難しく、報酬以外に収入がないと議員にな
     れなくなるであろう。そうなると、若者が地方議員を目指すことは皆無にな
     り、地方政治の衰退を招くことにもなりかねない。専業でない場合は、時間
     的にも資金的にも公務以外の議員活動(調査・研究)が制限されるから、今
     まで以上に行政主導になり、地方分権に逆行することも考えられる。
      地方議員は専門化すべきなのか、またはボランティア的にすべきなのか、
     ならば、地方議会そのものが必要ないのか、ぜひとも全国的な議論に発展し
     てもらいたい。



  2007/12/23「政界のUFO論争にひとこと


      先週、UFOの存在を信じる、信じないで、官房長官から防衛大臣、そして
     北海道知事までこの話に参戦していた。このニュースをみたとき、またして
     もマスコミ(TV)の偽装を発見した。未確認飛行物体として流していた映像
     の中に、既に飛行機であったことが確かめられた映像まで使っていた。マス
     コミ報道には常に注意しなくてはならない。
      さて、ここでいうUFOは未確認飛行物体というよりは、地球外知的生命体
     の乗り物という意味で使っているようだ。中学の頃だったか、カールセーガ
     ン博士が地球と同じような星が、宇宙にはいくつも有り得ると言っていたの
     を覚えている。ただ、何万光年も離れた星から空飛ぶ円盤に乗って地球に来
     ているかどうかは別の話である。私が単純に不思議に思うのは、この空飛ぶ
     円盤がよく墜落していることである。有名なロズウェル事件もそうだ。もし、
     何万光年も彼方から地球に飛来してくることができる技術を持っているのな
     ら、なぜそんなに墜落するのか?不思議である。
      最後に防衛大臣は「存在しないと断定できる根拠がない」と言っていた。
     まずは、存在しないことは証明できないことを知るべきである。白いカラス
     がいるかどうか、1万羽調査していなくても1万1羽目に見つかる可能性は
     どこまでいってもあるわけだ。

      先日もコラムに書いたが、今の日本には疑似科学が蔓延している。楽しむ
     程度ならいいのだが、行政や学校教育にまでその影響が及ぶようでは見逃す
     わけにはいかない。

    (今回は年金問題などもっと大切なことがある、といった事には言及しない)



  2007/11/30「疑似科学に対する行政の対応


      人は科学的に装った情報に弱いところがある。象徴的な出来事としては、
     あの納豆ブームが記憶に新しいところであろうか。これは捏造データにより
     テレビ番組がつくられ、納豆でダイエットができるということで、一時は品
     切れになるほどだった。何が正しくて何が誤っているのか、メディアからの
     情報について厳しい目で見るには程遠いのが現状である。
      また、怪しい商品や技術を自治体に売り込むような動きも以前からある。
     ビニール袋などのごみから灯油を作り出す装置が、以前テレビで紹介された
     ことがある。これは結局インチキだったことがあとで判明したわけだが、当
     時は驚くべき技術として、テレビで紹介されるほどだった。

      本市においても今気になっているのが、EM(有用微生物群)菌について
     である。農作物の育成や水質浄化などについては、数多くの事例がその効果
     を示しているといえよう。しかし、過日このEM菌の創始者である比嘉照夫
     先生(琉球大学名誉教授)の話を聞いたとき、注意が必要ではないかと感じ
     た。それは講演のなかに科学と疑似科学(科学を装っているが科学的でない)
     が入り混じっていると感じたからである。特にEM菌を使用していると地震
     の揺れが軽減されるといった話は素直に受け入れられなかった。地震の揺れ
     は地盤の性質によって変わってくるのもで、家屋の揺れに対する強度は、地
     盤の状況に加え、建物の耐震性などが関係してくる。もし、ある微生物を使
     うだけで地震の揺れが軽減されるとしたら、これは新発見といえる。早速、
     科学的な検証をすべきである。また、EM菌そのものでなく、ボカシという
     ものをつくらなければ効果が発揮されないこと、しかも大量に必要となるこ
     となど、本当は何が有効に働いているのか、この点についても科学的な検証
     の必要性を感じた。

      メディアの情報も名誉教授の情報も権威がその背景にあり、聴衆はその権
     威を無批判に受け入れてしまう傾向がある。これが個人レベルの話ですめば
     大きな問題にはならないが、大衆を巻き込んだり、行政までもを巻き込んで
     しまうと見過ごすわけにはいかない。行政を巻き込むとは税金を使うことで
     ある。それが本当なのかどうか、まずは疑ってかかる姿勢が重要である。



  2007/10/1「緊急地震速報の運用開始


       今日から緊急地震速報の運用が開始される。同日午前2時21分頃、神奈
      川県箱根町で震度5強の揺れを観測する地震が発生した。震源が近かったこ
      ともあり、緊急地震速報が稼働していても間に合わなかったようである。運
      用開始に当たり、万能でないことを示した格好となった。
       また、民放ラジオ局はこのシステムの導入を先延ばしした。確かに自動車
      の運転中に地震速報が流れ、急停止などすると事故につながりかねない懸念
      がある。情報を受けたときにどのように対応すべきか、我々の意識が重要と
      いえる。
       緊急地震速報は学校教育にもうまく活用して欲しい。防災意識の向上だけ
      でなく、地震という自然現象についても多くの子供たちに興味を持ってもら
      いたい。そして将来的には人命救助に最も効果があるとされる短期地震予知
      (数日前または数時間前に予報)の実現を望むものである。



  2007/7/30「参議院選挙の結果に思うこと


       昨日投開票が行われた参議院選挙は、自民党の惨敗、民主党の躍進という
      結果に終わった。今回から一人区となった栃木県選挙区でも、現職どうしの
      戦いを制して、民主党候補が当選を果たした。

       この結果を受けても、安倍首相は辞任の考えがないとの意向を表明してい
      る。民意は安倍政権のノーを突きつけたわけだから、首相たるものその責任
      を果たしていただきたい。もし、このまま政権にしがみついたならば、政治
      不信は益々増大してしまうであろう。国民がその意思表示をできるのが選挙
      である。その選挙の結果を政治家が真摯に受け止めなかったら、この国の民
      主主義はなくなってしまう。
       また、今回焦点となった年金問題については、3年前に制度改正がなされ
      ている。しかし、当時も指摘したようにこの改正は、単なる問題の先送りに
      過ぎない。グリーンピアに代表される無駄遣いよって、国民年金は既に崩壊
      している可能性もある。今度こそ、抜本的な年金制度改革を期待したい。



  2007/5/1「二期目のスタート


      4月22日投開票の市議会議員選挙の結果、2,226票いただいて二期
     目の当選をすることができた。本日より二期目が始まるわけだが、足利赤十
     字病院の移転問題や市場統合問題など、大きな案件を控え、足利市が誤った
     方向に行かないよう、市政を厳しくチェックしていきたい。

      今回の選挙は、同じ町内と隣りの地区から有力な新人が立候補し、かなり
     厳しい選挙になると予想していたが、その通り厳しい選挙であった。そうし
     たなかで、前回より180票伸ばせたことは今後の励みになる。
 
      本市は今、さまざまな問題を抱えている。止まらない人口減少に加えて、
     小山市などと比べた場合に高齢化が進んでいることなど、福祉や教育、子育
     て、何をやるにしても財政的に厳しい状況といえる。
      そうした現状でまちの活性化をはかるには、若年人口を増加させることが
     肝要であると考えている。企業誘致の努力に加え起業の支援、さらには勤め
     先が他市であっても住居は本市となるような子育て支援、教育の充実など、
     この4年間でその礎を築く必要がある。
      また、世界的な問題でもある地球温暖化対策や、これまでほとんどタッチ
     しなかった農業施策などにも今後は取り組んでいきたい。



  2007/4/14「いよいよ市議会議員選挙


      明日15日から4年に1度の市議会議員選挙が行われる。
     私は現職として挑むので、この4年間の活動が評価される選挙でもある。

      4年前の選挙では最低限のお約束として、
      1)さらなる情報公開:自らの政務調査費の積極的な公開
      2)議員としての説明責任:活動報告を定期的に行う
     の2点を選挙公約とした。このホームページを見ていただければ、それが守
     られたことは、おわかりになると思う。特に政務調査費の公開については、
     私がはじめてから1年後に、議会としてもホームページ上で公開するように
     なり、より透明性が増したといえる。

      今回の選挙ではまず、市民との直接対話の継続をお約束したい。昨年は会
     派として3回行ったが、一議員の後援会の枠を超えた市民の皆様との直接対
     話は大変意義深いものがあり、その重要性を実感した。
      足利赤十字病院の移転問題に関しては、その機能が充実し、市民の皆様が
     より安心して暮らせるようになること自体は大いに賛成である。しかし、今
     提出されている総事業費約200億円という数字に疑問があり、まずはその
     点を明らかにしないと、市の補助(負担)もはっきりしない。賛成・反対の
     前に、議員としてしっかりと調査をし、議会の場で十分な議論をすることが
     先決であると考えている。
      では、これから足利市をどのようなまちにしたいのか?その質問に対して
     は、第一に「子育てと教育のまち」とお答えしたい。本市は日本最古の大学
     「足利学校」のあるまちである。全国的に魅力ある教育のまちにできる潜在
     能力は十分あると考えている。また、子育てと教育に魅力があれば若年人口
     が増え、まちに活気がでてくる。まちに活気がでてくれば、新しい可能性も
     生まれてくる。

      この4年間16回の本議会のうち、一般質問の登壇回数は11回で、全議
     員のうち2番目に、新人議員のなかでは1番多く議会質問をした。なかでも
     競馬場跡地への医療薬科系新設大学の誘致に関しては、繰り返しその問題点
     を指摘してきた(結局この構想は白紙)。
      これからも是々非々の立場で、良いものは良い、良くないものは良くない
     と、はっきり発言していくこともお約束したい。



  2007/4/9「県議会議員選挙を終えて


      昨日、統一地方選挙の前半戦、県議会議員選挙の投開票が行われた。足利
     市における議席は1つ減って4となり、その4議席を6人の候補者が争う戦
     いとなった。
      しかし、本市における投票率は51.32%で、前回の62.01%より10%以上
     投票率が下がってしまった。非常に残念ではあるが、争点がはっきりせず、
     盛り上がらなかった選挙戦を考えれば、予想された結果といえよう。

      さて1週間後の15日からは、いよいよ市議会議員選挙がはじまる。本市
     の抱えるさまざまな問題や閉塞感に対し、はっきりとした主張をして、市民
     の皆様に強い関心を持っていただけるよう頑張るしかない。



  2007/1/17「自ら考える


      今日で阪神・淡路大震災から12年になる。現在、神戸市民の約3割は震
     災後の転入者や震災後に生まれた子供たちとなったそうだ。しかし、復興住
     宅における孤独死は昨年も66人と、いまだにその傷は癒えていない。

      ある著名な占い師による地震予知の話は、1年前のこのコラムにも書いて
     ある。この年末年始のTV特番でも、懲りずにこの占い師が大地震の予知を
     するというので観てみた。「近い将来、川がある側で大地震が起きる」とい
     う内容だった。昨年に引き続き、あまりにも当たり前の、今回は昨年よりも
     必ず当たる内容であった(“いつ”を除いて考えた場合)。
      日本は至る所に大小の川がある。その日本で内陸直下の地震が起きた場合、
     必ず近くに川はある。したがって、この発言は予知でも占いでもない。当た
     り前のことを言ったまでである。
      なぜそのような発言をする占い師をTV各局をはじめマスコミが、こうも
     取り上げるのか?日本という国が危ない方向へ行っている証にも思える。

      民主主義は本来面倒なものである。市民ひとりひとりが政治に目を光らせ、
     自分の頭で考えなければならない。考えることを放棄し、無関心になれば政
     治は腐敗し、国は危険な方向へと向かってしまう。数字が取れるとなるTV
     各局は同じ人間を取り上げる。誰かがいいといえば、その人の言葉を無批判
     に受け入れる。非常に危険な兆候だ。
      人気の高かった小泉内閣が残したものは何か。格差社会の拡大ではないか。
     本当にいい国になったのだろうか?本質を見抜くには、まず自ら考えること
     である。それを放棄したら民主主義は滅びる。



  2006/12/31「今年一年を振り返って-2006-


      今年は荒川静香選手の金メダルやワールドベースボールクラッシックで日
     本が世界一になったことなど、スポーツ界では嬉しい出来事が数多くあった。
      しかし、地方議員としてはやはり夕張市の財政破綻が最も大きな出来事で
     あったといえる。私のところにも「足利は大丈夫なのか?」といった問い合
     わせが数多く寄せられた。現時点では問題ないものの、将来的には決して他
     人事とは言えない(詳細は「相談室」を参照されたい)。

      また、学校でのいじめ自殺も全国的な問題となった。学校や教育委員会、
     さらには文部科学省までの隠蔽体質に怒りを覚えたのは私だけではあるまい。
     いじめは学校の対応だけで解決できるものではない。やはり、家庭での教育
     が根本にあり、そこから考えていかないと解決の糸口は見えてこないように
     思える。この問題は来年も継続されるであろう。

      本市でもいろいろな出来事があった。まずは、競馬場跡地への医療薬科系
     大学新設が白紙になったことを取り上げよう。この件は再三議会で問題点を
     指摘したように、白紙になって良かったと思っている。しかし、行政側は相
     手の資金計画の甘さばかりを取り上げ、自らの調査能力のなさを反省したと
     はいえない。また、安易に賛成していた議員も同様である。なかには白紙に
     なった後に「10ヶ月前から指摘していた」などと議会で発言する議員まで
     いて・・・、呆れてしまった。
      次に財団法人みどりと文化・スポーツ財団の外国債購入による4,200
     万円の損失を取り上げよう。いわゆる公金がなくなってしまった事件といえ
     るわけだが、当事者や当時の責任者、さらに市の責任もまだ明確になってい
     ない。何よりもその損失補填を事件に全く無関係のない現職員に負わせよう
     とすることは全く理解できない。これも年越しの問題である。

      来春は統一地方選挙があり、我々も審判される。前回は新人だったので、
     現状批判や希望を訴えていればよかった。今回は現職として挑むので、上向
     きになったとは決して言えない本市の現状に対して私にも責任がある。しか
     し、まだ私はあきらめない。本市を何とかして上向きにしたい。



  2006/12/11「4,200万円の損失補填
            〜財団法人足利市みどりと文化・
             スポーツ財団の外国債購入問題〜


      財団法人足利市みどりと文化・スポーツ財団が資産運用のために購入した
     約4,200万円もの外国債がほとんど回収不能となり損失してしまった。この
     事故が明らかになったのは今年9月である。
      この件について、両毛鴻志会では特別委員会を設置し、議会独自に真相究
     明をすべきと主張したが、他の賛同が得られず特別委員会は設置できなかっ
     た。そこで、本日行われた議会一般質問において、その損失補填のあり方と
     いう視点から質問した。
      この損失は悪意を持ってなされたものではなく、あくまで過失である。し
     たがって、当時の責任者や外国債購入に関わった関係者を刑法や民法でその
     責任を問うことはできないようだ。私も法律に詳しいわけではないが、企業
     でときどき耳にする「背任罪」を調べてみた。しかし、この背任罪も自己が
     利益を得る目的、または、会社に損害を与える目的をもって、その契約をし
     た場合でなければ成立しないので、今回の件でも適用はされない。
      市が当初打ち出した方針は、財団法人自らが経費節減でその損失を補填し、
     市は直接の補填を行わないとのことだった。何とも納得がいかない。なぜ何
     の責任もない今いる職員の給与を削って(3年間で1,500万円)穴埋めしな
     ければならないのか。市にも責任はある。また、過失とはいえ、関係者や当
     時の責任者も道義的には責任があるのではないか。

      この問題はまだまだ幕引きにはならない。事故とはいえ、今いる財団職員
     の給与で穴埋めするなど、どうにも合点がいかない。市の責任、そして損失
     補填のあり方について今後も調査していく。



  2006/11/06「学校がおかしい

      いじめによる自殺、高校での必修科目履修漏れなど、ここのところ学校教
     育に関わる事件が後を絶たない。
      福岡県で起きた中学生の自殺は、そのいじめに先生が関わっていたことが
     指摘されている。本来いじめられている生徒を守るべき立場の教師がこれで
     は話にならない。しかも、この事件のみならず、学校はいじめの事実をなか
     なか認めようとしない。訴訟等を考えた教育委員会からの指示ともいわれて
     いるが、これでは学校はもはや教育をする場ではなくなっていると言わざる
     を得ない。
      いじめをなくすことが根本的な解決ではある。しかし、いじめは学校のみ
     ならず、職場や近所付き合いなど、人が集まれば起こりうる可能性が必ずあ
     る。ならば学校に行かない選択も真剣に考えていいのではないか。学校に行
     く価値よりも人の命のほうがはるかに尊いことはいうまでもない。学校に行
     かなくても立派な大人になった人はたくさんいる。我々大人も学校という社
     会だけが子供の選択肢ではない、といったことを受け入れるべきである。

      今、教育基本法の改正がいわれているが、それでこうした問題が解決する
     はずもない。それよりも大切なことは教育の現場である。現場を知り現場を
     変えないことには解決の糸口は見えてこないのではないだろうか。



  2006/07/10「他人事ではない!
           −夕張市が財政再建団体へ−


       先月17日、北海道夕張市は国の管理下で再建を進める財政再建団体の指定
     を国に申請する方針を固めた。自主運営の放棄、自治体の倒産である。これは
     1992年福岡県赤池町以来のことである。
      国が押し進める三位一体改革は、地方への負担押しつけの感が歪めない。
     今後、夕張市のような地方自治体がまだでてくる可能性がないとは言えない
     であろう。

      夕張市は人口約1万3千人で、負債総額はおよそ632億円といわれてい
     る。市民ひとり当たりで換算すると、およそ479万円の借金になる。本市は
     人口15万9千人で、負債総額が昨年度決算で約1200億円だから、市民ひ
     とり当たりの借金は、約75万円となる。夕張市と比べると、数字的にはまだ
     余裕があるといえるが、安心はできない。
      市長が進めている競馬場跡地への新設大学の誘致、さらに日赤移転では、
     その整地や周辺整備等で約20億円が使われることになっている。また、大学
     や日赤が土地の無償貸与以外の移転費用をすべて自前でやっていただけるので
     あれば、市の負担はこれだけで済むが、そのようにはいかないようだ。特に新
     設大学については、その将来性について慎重に対応すべきと、何度も議会で訴
     えてきた。甘い将来見通しで先行投資してしまうと、本市も財政再建団体にな
     りかねないと心配していたが、大学準備会側が当初目論んでいた資金が集まら
     ず、事実上白紙となった。

      「橋をつくります」「ホールをつくります」など、「つくります」といった
     公約は、市民に対しての受けもよいであろう。しかし、今はバブルではない。
     政治は市民受けのいいことばかり言うのではなく、将来の負担も考えて「つく
     らない」ことも主張すべき時代ではなかろうか。



  2006/04/26「チェルノブイリ原発事故から20年

      チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故から20年が経った。当時大学生だっ
     た私は、友人らと事故現場を記録した映画を見た。映像や音声には時折、放射能
     による感光やバチバチといったノイズが入っていたことを今でも覚えている。
     放射能汚染は世界中に広がり、大きな社会問題にもなった。

      そのチェルノブイリでは、事故を起こした第4号炉に今でも150トンもの放
     射性物質があるとのことだ。その放射能が外に漏れないよう4号炉全体を覆った
     コンクリートは、今崩壊の危険性が増しているという。もし、このコンクリート
     の覆いが崩れれば、大量の放射能が再びまき散らされ、大惨事になってしまうで
     あろう。

      原子力発電は二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーだと、日本の政府は
     宣伝している。しかし、チェルノブイリでは今でも半径30km以内は立入禁止
     になっている。また、ガンの発生率も他地域に比べ高くなっている。この事実か
     ら明らかなように、ひとたび事故が起きれば、広範囲にそして長期間にわたって
     環境を汚染してしまうのが、原子力発電である。決してクリーンなエネルギーな
     どではない。

      日本は現在、国策として原子力発電を推進している。しかし、将来的なエネル
     ギー政策を考えた場合、欧州諸国のように自然エネルギーを利用する道へシフト
     すべきであると、強く主張したい。安全性や経済性で多くの問題を抱える原子力
     発電の推進をやめ、ライフスタイルの転換も含めた、自然エネルギーへのシフト
     を国策としてぜひとも打ち上げて欲しい。



  2006/01/17「本質を見抜く

      11年前の今日、阪神・淡路大震災が発生した。この日を境に多くの人々の人
     生も変わってしまった。直接的な影響を受けていない私自身もその一人である。

      さて、ここ数年は東海地震や首都圏直下型地震の発生が危惧され、地震・防災
     に対する人々の関心も高まっている。テレビや週刊誌などの各マスコミも、この
     問題を数多く取り上げている。
      正月のあるテレビ番組で、著名な占い師が今年の地震を予測するというので、
     ちょっと見てみた。その占い師の予言?は「世界の大国で大地震が起きる。日本
     でも震度6クラスの地震が発生する。」といったものだった。正直がっかりした。
     これでは単にあたりまえのこと、常識を言っているに過ぎない。
      まず、大国とは何を差すのか?いわゆる経済大国なら、アメリカも日本も地震
     多発国である。人口が多い国なら中国やインド、面積が大きい国ならロシア、い
     ずれも地震多発国である。あいまいな表現を使うことにより、当たりの対象を広
     げているだけで、逆に予言なら対象を絞るべきではないか。
      次に震度6の地震だが、昨年は2つ、一昨年は4つ、さらにその前の年は6つ
     起きている。今年日本で震度6の地震が起きても、何も珍しいことではない。

      このように、著名な占い師の発言ということで、多くの人々がそれに感心して
     しまうであろうことも、この程度である。ただ、今回は地震という私自身それな
     りの知識があることだから、物事の本質が見えたともいえる。
      では、道路公団民営化はどうか。郵政もそうであるが、民営化というと何やら
     良いイメージがあるのではなかろうか。しかし、道路公団を民営化しても、ムダ
     な高速道路建設に歯止めがかかったわけではない。また、今政府が進めている年
     金改革はどうか。厚生年金と共済年金の一元化が実現すれば、確かに進歩ではあ
     る。しかし、年金未納問題など、年金問題の本丸(本質)は国民年金にある。こ
     こを改革しなければ、真の改革とは言えない。

      マスコミが低俗化している今、われわれ国民ひとりひとりが、問題の本質を見
     抜く努力を怠ってしまうと、この国自体が誤った方向へ行きかねない。考えると
     いうことは面倒なことではあるが、われわれの子孫のためにも、考える努力を続
     けていきたい。



  2005/12/31「今年一年を振り返って-2005-

      今年は“安全”と“信頼”が崩れた年といえるかもしれない。
      4月に発生したJR福知山線脱線事故では、107名もの命が犠牲になった。
     また、数日前には山形でも悪天候の中、鉄道の脱線事故で尊い命が犠牲になって
     しまった。さらに耐震データ偽造問題は、わたしたちの生命・財産を脅かす問題
     で、真相の究明がまたれる。いずれも安全と思っていたものや、信頼していたも
     のに裏切られた事件といえる。

      国政では9月の衆議院解散総選挙で、小泉自民党が圧勝した。マドンナ刺客や
     小泉チルドレンなど、政治がワイドショー化してしまい、その結果は予想してい
     た通り、増税が既定路線となってしまった。年金問題に象徴された国民資産の無
     駄遣いをなくし、これまでの資産食いつぶしに対して責任を示すことが、増税の
     前にやるべきことではないか。国民資産の食いつぶしは、国会議員と官僚による
     背任行為で、法的な処分ができるよう法改正をすべきだと思っている。

      本市においては4月に市長選挙が行われ、吉谷市長が再選された。多くの市民
     が感じているであろう閉塞感に対しても現状維持を選んだ結果といえる。
      また、人口はついに16万人を割り、小山市にも抜かれ県下第三位へと転落し
     てしまった。さらに、本市が中心となり働きかけてきた両毛五市による公設市場
     構想も、佐野市・桐生市が離脱の意向を示唆し、かなり雲行きが怪しくなってき
     てしまった。
      そのような事実を考えると、残念ながら、閉塞感はさらに増してしまったのか
     もしれない。しかし、人口問題も新たな出発点と考えれば、前向きになれる。こ
     れから本市はどのようなまちづくりをしたらいいのか。来年は大切な年といえる。



  2005/12/27「県下第三位への転落〜都市人口〜

      本市の人口は16万人を割り、ついに小山市に抜かれ県下第三位に転落して
     しまった。人口減が嫌われるのは、税収の減少やにぎわいの喪失など、まちの
     活力低下が懸念されることにある。しかし、国においても、今年から人口減少
     社会に突入してしまった。
      労働者不足を補うため移民を受け入れるべき、との意見もある。国レベルで
     の移民受け入れ問題は、これから大きな議論がなされるであろう。また、それ
     に先立ち、地域レベルでは特区を利用して、移民受け入れを目指すところも出
     てくるかも知れない。

      地方における人口増加策は、これまで企業誘致がおもな手段であった。しか
     し、近年これとは異なる策を打ち出す市町村が現れている。例えば北海道伊達
     市では、自然や農業と調和した優良田園住宅や、高齢者むけの安心ハウスなど
     の供給による“移住”を推進している。
      これから団塊の世代の退職に合わせて、こうした移住をアピールする市町村
     が増えてくるかもしれない。また、シニア・パワーを活かしたコミュニティ・
     ビジネスによる地域活性化も考えられる。

      本市は東京に近い一方で自然も残っている。また、地震や台風などの自然災
     害に対しても比較的強い。企業誘致による地域活性化策もよいが、真に豊かな
     暮らしができるまちにするには、ここは発想を転換して、地域に埋もれている
     資源を見つけだすことから始めたらどうであろうか。その際、シニア・パワー
     を活用しない手はない。



  2005/10/17「“共謀罪”新設法案が再提出

      今開かれている特別国会で、二度廃案となった共謀罪新設のための組織犯罪
     処罰法改正案が審議入りとの報道を、先週金曜日に偶然ラジオで知った。この
     ラジオ番組は、都内数カ所で街頭アンケートをとるなどして、本日のニュース
     の関心度はかっている。番組では、共謀罪の問題に対して若者(20歳代〜)
     が全く関心を持っていなかったことを危惧していた。しかし、翌朝の新聞でも
     その報道は見つけられず、報道は郵政民営化法案成立ばかりであった。

      そもそも共謀罪とは、殺人など重大犯罪の実行行為がなくても、謀議に加わ
     るだけで処罰できる法律である。犯罪に関わる話をしていただけで処罰される
     社会とは、簡単に考えれば、人が信じられない社会、スパイ社会ということで
     はなかろうか。
      この法案に関しては、これまでにも日本弁護士連合会や人権擁護団体などか
     ら反対意見が多く出されている。しかし、小泉内閣はまたこの法案を提出して
     きた。野党からは「共謀罪の適用対象が不明確」と反対の声もあがっているが、
     数の論理で考えれば、与党の力に押し切られてしまうのが今の国会の現状だ。

      マスコミは国民受けする報道ばかりを考えるのではなく、何を国民に伝える
     べきかをもっと真剣に考えて欲しい。



  2005/09/12「衆議院選挙を終えて

      昨日投開票が行われた衆議院選挙は、自民党の圧勝で幕を閉じた。戦前から
     小泉自民党有利と言われていたが、自民296議席、民主113議席と、これ
     ほどの大差がつくとは想像していなかった。

      小泉政権の4年間で、赤字国債は170兆円も増え、年金や医療費、社会保
     険料など我々国民の負担は増加した。しかし、社会保険庁など官僚の横暴は野
     放しのままである。
      しかし、国民が小泉首相を支持したのは、他にリーダーがいないといったこ
     ともあったかと思う。対立軸となるべき民主党がだらしなかったため、これ以
     上の痛みを伴っても小泉さんに期待するしかなかったのかもしれない。
      一方で、「郵政賛成か、反対か」「改革を止めるな」といった単純でわかり
     やすいフレーズと、マドンナ刺客といったの話題づくりなど小泉首相の作戦が
     もののみごとに的中したともいえる。

      郵政民営化というが、小泉案の中身は国有化である。また、郵政があらゆる
     改革の入り口というが、その説明もなかった。改革を止めるなというが、この
     4年間の継続というなら、国の借金はますます増え、国民の負担もさらに増す
     ことになる。
      今は一国民として、小泉首相に対し、広く国民のためになる真の改革を実現
     してくれることを願うだけである。

      最後に、個人的にはこれまでにいろいろとお世話になったお二人が、ともに
     当選を果たしたことが何よりも嬉しい。
      群馬二区から初出馬した前群馬県議会議員の石関貴史(いしぜきたかし)さ
     んが、小選挙区ではわずかに届かなかったものの、比例区で堂々の初当選を果
     たした。また、栃木二区では、こちらも比例区で前栃木県知事の福田昭夫さん
     が初当選を果たした。今後のご活躍を期待いたします。



  2005/08/29「いよいよ明日から総選挙

      衆院選はいよいよ明日公示となる。9月11日の投票日まで全国で熱い戦いが
     繰り広げられる。

      今回の総選挙、大変残念なのは、刺客だのホリエモンだのとマスコミも騒ぎ
     立て、政策が置き去りにされている感があることだ。
      公示日前までの前哨戦では小泉自民党優勢といえる。しかし、各種世論調査
     で国民の最大関心事は「郵政」ではなく「年金」となっている。

      明日から始まる総選挙では、低俗なテレビ番組に惑わされることなく、じっ
     くりと各党のマニフェストを見比べ、政策で判断しようではないか。



  2005/08/09「郵政民営化と衆議院の解散

      昨日の参議院で郵政関連法案が否決され、衆議院が解散した。総選挙は30日
     公示、9月11日投票となった。

      参議院で否決され、衆議院を解散するといったことも変な話ではある。しか
     し、根本的な問題として今なぜ郵政民営化を急がなければならないのか、明確
     な説明がなされているとは思えない。
      確かに、道路公団などに流れている資金の入口(郵貯や簡保)をふさいでし
     まわなければ、抜本的な改革はできないであろう。反対派のなかには、公社や
     公団の資金源とされた財政投融資制度は既に改正され、郵貯が財投に回される
     ことはなくなったと主張する人がいる。しかし、その資金は財投債という国債
     に回され、国債市場を通過し、公庫・公団・事業団に融資が行なわれる仕組み
     になっただけというのが現実である。

      問題なのは、郵貯や簡保の資金の流れが不透明なことである。それを明らか
     にして、国民の資産をむさぼるような行為をやめさせることこそ求められてい
     る改革ではなかろうか。
      最近、道路公団の無駄遣いが問題になった。少し前にはグリーンピアに象徴
     される年金の無駄遣いが話題になった。
      構造改革、国民が最も望んでいることは、税金や年金も含め無駄遣いをなく
     し、将来の生活に対する不安を取り除いてくれる改革である、と私は確信して
     いる。

      では、郵政を民営化するとそうなるのであろうか。残念ながらこの点につい
     て、小泉首相は具体的な道筋を我々国民に示してはいない。ただ“郵政民営化
     こそ改革の本丸”と唱えているだけだ。到底、説明責任を果たしているとはい
     えない。

      総選挙、折角与えてくれたチャンスである。郵政民営化の是非などと、問題
     を矮小化せず、もっと大きな視点でこの国の行く末を考え、審判を下すべきで
     ある。
      官僚の天下りや談合、グリーンピアなどに象徴される税金の無駄遣いをいか
     にしてなくすのか? 年金問題など将来の生活に対する不安をどのように解消
     していくのか? 一言で言うなら“税金の使い道”こそ、今回の総選挙の争点
     にするべきことである。



  2005/05/24「新会派“両毛鴻志会”結成

      23日付で市議会の新会派“両毛鴻志会(りょうもうこうしかい)”を結成
     した。ちょっと難しい名前だが、足利市のみならず両毛広域を視野に入れ、志
     を高く大きく持つといった意味合いである。

      足利市そして両毛地域の将来を見据えながら政策を立案し、市長・行政当局
     と向き合える真の「政策集団」を目指す点で考えが一致した。
      この新会派で私は政調会長として、おもに政策立案を担当させていただくこ
     ととなった。
      奇しくも前日22日は、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟結成大会
     が東京であり、足利市議会からは私だけだったが、結成に加わった。この連盟
     では、次回改選時にローカル・マニフェストを作成することを大きな目標とし
     ている。
      首長と違い執行権をもたない議員(会派)が、市民にどのようなマニフェス
     トを示すことができるのか、政調会長としての大きな役割と心得ている。

     ※)会派の基本方針等については、活動報告5月23日をご参照下さい。



  2005/05/17「改革クラブ解散

      本日をもって、市議会会派「改革クラブ(会長 織原義明)」を解散した。
      この件については、前もって塩田議員と小林議員に話をしたところ、両名と
     も同様な思いを抱いていたため、すんなりと話がまとまった。

      大豆生田一派と世間から見られている私たちが、今の時期に解散するのは、
     市長選挙の結果に関係しているのでは?と思われてしまうかも知れない。しか
     し、これは市長選挙前から皆が思っていたことで、それが直接の原因ではない。
     一市議会議員として、新たな可能性を開拓していくためには、この枠組みでは
     既に限界というのが、3人の共通した認識であった。

      市議会の会派は同じ考え(政策)を持った集団であるとされるが、実際のと
     ころは、議長・副議長といったポストに関連して離合集散している。市民には
     大変わかりづらいものである。
      今後はとりあえずひとり会派となるが、政策面で合意できる真の会派が結成
     できればと思っている。



  2005/04/26「市長選挙を終えて

      24日投開票の足利市長選挙は、吉谷宗夫氏が接戦を制し再選された。

       吉谷宗夫氏  29,182票
       大豆生田実氏 27,632票
       鈴木高明氏   6,708票
       嶋田政芳氏   6,105票

      吉谷氏と大豆生田氏の差はわずが1,550票だった。 

      吉谷市長に対しては再選されたとはいえ、前回過半数を越えていた得票率
     が、今回は4割近くまで落ち込んだことを真摯に受け止めて欲しい。

      大豆生田氏に対しては、前向きに考えるなら、前回1万1千票もあった差
     がここまで縮まったと見ることもできる。
      しかし、今回も負けてしまった。では、その原因はどこにあるのか。
      はじめから結論ありきの後援会総会が、支持者に対して誠意ある態度とい
     えるのか? なぜ、選対事務局長を実弟がやらなければならなかったのか?
     4年前と今回の選挙で、実働部隊の顔ぶれの違いはどこに原因があるのか?
     などなど。これらに対して正しい答えにたどり着ければ、必ず再起は果たせ
     ると思う。

      さらに、プラス思考も度が過ぎれば、現実逃避となってしまうことにも気
     づいていただければと願っている。



  2005/04/15「初の試み−公開討論会−

      昨夜、足利市長選挙立候補予定者4名による公開討論会が市民会館で開かれ
     た。本市では初の試みで、まずは主催者と出演者にお礼を申し上げたい。

      今回の討論会は、事前に渡された質問内容に対して答える形式だったため、
     物足りなさもあった。しかし、4名が順番に答えるなか、前に答えた方の回答
     を意識して(批判をまじえて)答える場面もあり、すべてが原稿の棒読みでな
     かった点は評価したい。
      また、財政再建、福祉問題、競馬場跡地利用等の各論で、それぞれの主張の
     違いもわかった。さらに、4名の中のおひとりは、残念ながら市長選に出るに
     はレベルが低すぎるのでは?と感じてしまった。恐らくそう感じたのは私だけ
     ではなかったと思う。そういった点からも、今回の試みは有権者にとって意味
     あるものになったのではないかと思う。

      今回の選挙は争点が見えないとも言われている。しかし、人口減に税収減、
     さらに借金増加の傾向はこの4年間で歯止めがかからなかったといった事実が
     ある。したがって、「足利再生」が今回の市長選挙のキーワードと考えてもい
     いのではなかろうか。各候補者の「足利再生」への具体策に注目したい。



  2005/04/06「大激戦の様相−足利市長選挙−

      昨日、県議の大豆生田実氏が足利市長選挙への出馬を表明した。これにより、
     既に出馬を表明している現職の吉谷宗夫市長、市議の嶋田政芳氏、さらに会社
     経営者の鈴木高明氏による4氏で争われることになる。

      14日の夜には、足利市民会館で公開討論会が開かれる予定になっている。
     市民の皆様には、時間が許す限りぜひともこの公開討論会に足を運んでいただ
     きたいと思う。そして、選挙は4氏の政策論争となることを期待する。決して
     前回のような誹謗中傷にならないことを各陣営にお願いしたい。

      私は緊急課題である財政再建と、長期展望としての足利のまちづくりに関す
     る政策に注目したいと思っている。



  2005/03/21「福岡・佐賀で震度6弱

      昨日午前10時53分ごろ、九州北部で強い地震があり、福岡県と佐賀県では
     震度6弱を記録した(深さ9キロ、マグニチュードは7.0と推定)。犠牲者の
     ご冥福をお祈りしますとともに、被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

      福岡市ではビルの窓ガラスが割れ落下してきたが、奇跡的に被害は少なかった
     ようである。大地震によるビル窓ガラスの危険性は以前からも指摘されており、
     首都圏でもその対策が急がれることとなろう。

      今回の地震、震源地は福岡県西方沖で、1700年にも同様の場所で同程度の
     地震が発生している。日本中どこで起きてもおかしくない大地震が、今回は九
     州北部を襲ったことになる。
      本市には活断層もみつからず、自然災害が少ないとはいえ、過去には今市地震
     もあり、赤城山や深谷断層などが近くにある。決して他人ごとではない。日頃の
     備えだけはしっかりしておきたい。

      ちなみに今回の地震に対するアマチュア研究家の予知は、web上で確認できる
     範囲ではすべてハズレである。「近傍に観測点があればわかった」とか「この異
     常が対応している」といった後予知は見苦しい。



  2005/01/17「あれから10年
          
−阪神・淡路大震災−

      10年前の午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3、最大
     震度7を記録した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生した。6433人も
     の尊い命を奪った都市直下型の地震は、日本社会に大きな衝撃を与えた。
      一昨年、視察で神戸市を訪れた。市の中心である三宮周辺では、震災の傷跡も
     見あたらなく、インフラは確実に復興している。しかし、現実には孤独死や新た
     な地域格差などの問題があり、住民の復興はまだまだのようである。

      今年は阪神・淡路大震災から10年であるのに加え、昨年の新潟中越地震やス
     マトラ島沖の大地震もあり、せまりくる東海・東南海・南海地震、首都圏直下型
     の地震を取り上げるテレビ番組などがこのところ増えている。
      津波の恐ろしさや災害から身を守るすべを扱った内容は、啓蒙という点からも
     評価できる。しかし、一部のマスコミが取り上げるオカルトめいた地震予知には
     憤りさえ感じてしまう。報道では、当たっている部分だけを取り上げているが、
     予知したのに地震が起きなかったケースや、予知できずに地震が起きたケースも
     多々ある。このようなことまで検証しないと、見る側はそれが本当に当たってい
     るかどうかの評価すらできない。

      我々は、怪しい情報に気を配るよりはむしろ、地震や地震災害の正しい知識を
     身につけ、緊急時の備えをしっかりしておいたほうが、いざというときに役に立
     つであろう。まずは、自分だけは大丈夫などと決して思わないことである。



  2005/01/10「今年は市長選挙の年

     今年は4年に一度の足利市長選挙が春に予定されている。今のところ、現職以
    外、表だった動きはないが、ぜひとも選挙となり、これからの足利をどうしてい
    くのかといった政策論争で争ってもらいたい。
     前回の市長選挙や昨年の知事選挙をみると、足利市(栃木県)は、残念ながら
    誹謗中傷が功を奏してしまう土地柄のようだ。群馬県の方の話では、群馬はこれ
    ほど露骨な誹謗中傷はしないとのことである。その群馬県からは総理大臣が3人
    も出ている。しかし、栃木県からはひとりもいない。もしかしたら、こうした市
    民の見る目の違いが、そこにでているのかもしれない。

     市長選挙、まず現職に対しては、4年前の公約とその達成度を評価していただ
    きたい。さらに、この4年間で足利市はどのように変わったのか? 何がよくな
    り、何が悪くなったのか。そのようなことも評価の重要なポイントである。
     繰り返しになるが、市民の皆様にはまず、この4年間の市政についての評価を
    お願いしたい。果たして足利はこのままでいいのだろうか?と。



  2004/12/31「今年一年を振り返って -2004-

     今年を振り返ると、記録的な暑さや台風等による水害、さらに新潟県中越地震
    など自然災害の多い年であった。さらに年末にはマグニチュード9.0の巨大地震
    がスマトラ島付近で発生し、津波により各国に甚大な被害が出ている。犠牲者は
    10万人を越えてしまいそうだ。
     新聞報道によると、実はこの地震による巨大津波の兆候をインド空軍はキャッ
    チしていたという。しかし、ずさんな連絡体制のため、国民向けの警告が出せな
    かったというのだ。地震発生からインドに津波が到達するまでは、3時間程度の
    余裕があったはずである。これはもはや自然災害ではなく、人災と言ってもいい
    のではなかろうか。自然災害を人災にしてしまうか否かは、その国や地域の危機
    管理体制にかかわってくる。政治の責任は大きい。
     地震や津波に対する危機管理に関して日本は先進国である。救急援助に加え、
    今回被害を被ったアジア各国に対して、地震・津波対策についても長期的に国際
    援助をすべきではなかろうか。

     最後に、わが国においては数十年後振り返ってみたとき、2004年を境に水害
    等の自然災害が多発するようになったと言われるかもしれない。地球温暖化対策
    も待ったなしである。



  2004/11/30「知事選を終えて」

     28日投開票の栃木県知事選挙の結果、福田富一新知事が誕生することとなった。
    新知事が公約として第一に掲げたのが「市町村への本格的な権限・財源移譲」
    である。これにより、市単独での裁量が増えることを期待したい。

     さて、今回の知事選挙の投票率は、県全体で47.65%であったのに対し、足利市
    では38.67%にとどまった。前回比で1.12ポイント増ではあったが、足利市民から
    すれば、知事は遠い存在なのかもしれない。

     さらに今回の選挙で残念に思ったのは、「無責任」と「公約違反」の中傷合戦に
    なってしまったことだ。県知事や市町村長は執行権を持つのであるから、本来なら
    政策論争で競うべきものである。しかし、県知事選では選挙中にマニュフェストが
    配布できないのが現状である。
     県知事選挙や市町村長選挙でもマニュフェストによる政策論争ができるよう公職
    選挙法の改正を求めるところである。



  2004/11/10「栃木県政と足利市政」

    今回は、福田昭夫(あきお)知事によるこの4年間の県政と、足利市政との関わ
   り合いについて考えてみたいと思う。

    「何もやってくれない」「市町村軽視だ」などといった声が、一部から聞かれた
   りもしたが、本当にそうなのであろうか?
    県と足利市との関わり合いについては、競馬事業からの撤退ひとつだけを取り上
   げても、県は足利市に協力的だったと言える。本市が競馬事業からスムーズに撤退
   できたのは、市の競馬事業を県営競馬が引き継いでくれたからであって、市単独で
   できたわけではない。
    競馬事業の赤字は、本市にとって大きな問題であった。そのような問題の解決に
   県は大いに協力してくれたのである。

    また、現在に目を移すと、本市は北のインタービジネスパーク、南の西久保田工
   業団地と2つの工業団地開発に着手している。これも聞くところによれば、当初、
   市単独事業で行うつもりだったのが、この不景気で思うようにはいかず、今では、
   特に、西久保田工業団地に県の大きな協力があると聞いている。
    それ以外にも、市の求めに応じた県職員の派遣や信用保証協会足利支店の開設な
   ど、多くの事業に県が協力をしている。

    このように福田昭夫県政の4年間は本市に協力的であり、過日新聞報道(11/3
   毎日)でも吉谷市長自身、県に妨害されて実現できなかった問題はない、と答えて
   いる。したがって、今知事を交代させなければならない大義名分はなく、福田昭夫
   県政の継続こそが、足利市民にとって“得”といえる。



  2004/11/01「新潟県中越地震をうけて
          −地震予知は可能か−」


    10月23日に発生した新潟県中越地震は、30人以上の犠牲者を出し、今なお多く
   の方々が避難生活をおくる悲惨な結果になってしまった。犠牲者のご冥福をお祈り
   しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

    さて、今回はあえて“地震予知”について、触れてみたいと思う。

    この新潟県中越地震を事前に予知したと言っている人もいるようだが、実際に人
   命を救ったり、被害の軽減にはつながっていないので、役に立っていないことだけ
   は事実である。また、当たったと豪語している方のほとんどは、ほぼ日常的に地震
   が起きると言っている。このような“まやかし”に騙されないよう気をつけなけれ
   ばならない。
    現時点において科学的な地震予知は不可能である。しかし、電磁気的アプローチ
   などによる新しい研究成果は、その可能性を示していると言えよう。しかし、その
   ような研究が進み、もし将来的に地震予知がある程度可能になったとしても、それ
   が本当に役に立つかどうかは大いに疑問が残る。
    法律で唯一、予知を許されているのが東海地震である。観測に異常が検出され、
   高速道路や新幹線を止めるなど、さまざまな経済活動をストップさせた場合、その
   損失は一日で7,200億円以上との試算もある。もし発生しなければ、損害賠償
   も考えられないことではない。果たして、このような絶対とはいえない情報に対し
   て、政府は危険を冒すであろうか。それは、そのときの首相の政治決断に委ねられ
   る。

    科学的に地震予知がある程度可能になったとしても、社会がそれを受け入れられ
   るかどうかはまた別の問題である。過去に中国などでは、地震予知によって多くの
   人命が救われた事例がある。予知が被害軽減につながることは、まぎれもない事実
   だ。しかし、絶対でない情報に対してそれをどう扱えばいいのか、その準備と覚悟
   ができている人は、いったいどれくらいいるであろうか。科学的な予知と社会的な
   予知は別物である。政治はこの点を十分理解した上で対応しなければならない。



  2004/10/04「“記録的な”風雨による被害」

    先週日本に上陸した台風21号は、三重県をはじめ全国各地に大きな被害をもた
   らした。
    またこの夏は、新潟や福井などの集中豪雨、九州から北海道まで広範囲に多大な
   被害をもたらした台風18号など、全国各地で大雨や強風による被害が多発した。
    このような中で、しばしば耳にしたのが「記録的な雨」や「記録的な風」といっ
   た文句だ。これまでの常識ではめったに起こらないことが、今年は何度も起こって
   いるということになる。

    その原因のひとつとして言われているのが、地球温暖化現象である。風雨ばかり
   でなく、今夏の記録的な暑さを考えると、日本の亜熱帯化を実感してしまう。
    温暖化対策ももちろん重要であるが、ここでは現実に風雨による災害の危険度が
   増している今、行政は何をすべきかを考えてみたい。
    早急にやるべきことは、災害対策の見直しである。記録的な風雨が、今後は常識
   的に起こりうる危険性が増大している。そのことを念頭に置いて、これまでの災害
   対策を見直す必要がある。治水や土砂災害対策といったハード面は、予算的な問題
   や時間的な制約で、今すぐ全部をという訳にはいかないであろう。しかし、避難勧
   告などの情報伝達や市民の意識向上といったソフト面の改善は、今すぐにでも手を
   つけることができる。

    足利市は、自然災害の少ない住みやすいまちと言われている。しかし、その慢心
   が思わぬ災害につながることもある。自然の猛威に対して、注意すれば防げた人災
   が起こらぬよう準備を整えることが、行政に求められていることではなかろうか。



  2004/09/15「国際的なテロリズムの広がり」

    アメリカ同時多発テロから3年が経過した。この間、アメリカ主導によるテロ
   撲滅の動きは、決して成功しているとは言えない。むしろ、国際的にテロリズム
   は拡大していると言える。

    先日、ロシア南部の北オセチア共和国で発生した学校占拠事件は記憶に新しい。
   この事件では、子供や教師など330人以上が死亡したと言われている。このよう
   に人の命を簡単に奪ってしまう行為は絶対に許されるものではない。
    しかし、テロリスト達は何の動機もなく、このような残虐行動にでたわけではな
   いことも同時に考える必要がある。

    今回の事件はチェチェンの独立運動が関係しているが、ロシアによるチェチェン
   侵略の歴史は18世紀後半までさかのぼる。
    そして1994年、独立を求めるチェチェンに対し、ロシア軍が武力侵攻したの
   が、第1次チェチェン紛争である。この戦争で、およそ70万人のチェチェン人の
   うち、8万−10万人が死亡と言われている。
    さらに、9.11後はテロ撲滅という大義名分のもと、ロシアによるチェチェン
   侵略、圧政が現在も続いている。

    このような大国ロシアの非道な行為を抜きに、弱者である少数民族をテロと切り
   捨てるのは、いかがなものであろうか。自国の都合だけで小国に侵略し、罪のない
   市民を殺戮する行為こそ、糾弾されるべきではないか。
    アメリカやロシアが言う「テロ撲滅」は、「大国のエゴ」といった側面がある。
   我々もこの点をしっかりと認識しなければ、真の国際平和がおとづれることはない
   であろう。



  2004/08/18「日本の借金」

    国債や借入金など「国の借金」の総額が、平成16年3月末時点で700兆円を
   突破した。これは生まれたばかりの赤ちゃんも含め、国民1人当たり約550万円
   の借金を背負った計算になる。また、地方の借金を含めると、既に900兆円を超
   えているという試算もある。
    しかし、国民のどれだけがこの借金を実感しているであろうか。ほとんどの国民
   にその実感はないのではなかろうか。その問題意識の希薄さが、膨れ上がる借金を
   生んでしまった一因のようにも思える。

    今日では、日本国の破産、借金棒引きのための預金封鎖やデノミなどの危険性を
   指摘する書籍も多数ある。本当にそのようにならないためにも、我々一人ひとりが
   問題意識を持ち、真剣に考え行動しなければならないのではなかろうか。

    年金問題もそうであるが、先送りはもう許されない。



  2004/06/22「年金問題に関して」

    今国会で政府与党の「年金改革案」が可決された。
    世論調査の結果を見ると、国民の多くは今回の改革が「改悪」であり、問題を先
   送りしたに過ぎないと考えているようである。

    さて、今回の年金問題は改革案の中身よりも、議員の年金未加入・未納問題が過
   剰とも思えるほどにマスコミで取り上げられていた。
    私自身も一地方議員であり、「改革」を旗印に活動報告や政務調査費の積極的な
   公開を約束した。その手前、この件も(個人情報ではあるが)公開する必要がある
   と考えた。
    学生時代は加入義務化前なので、大学卒業後が問題となる。その間、国民年金と
   厚生年金を何度か切り替えているが、“未加入・未納期間はなかった”ことを社会
   保険庁に確認した。

    そもそも制度を決める国会議員ですら、「うっかり」未納があるような現在の年
   金制度は、制度自体に欠陥があると言わざるを得ない。また、グリーンピア事業や
   高級車の購入、あまりにも安すぎる職員宿舎など、年金掛け金を身勝手に使う社会
   保険庁自体の問題も甚だ大きい。
    社会保険庁にメスを入れること、そして、一元化を含めた年金制度の抜本的改革
   を早急にすべきである。多くの国民がそれを望んでいるのではなかろうか。



  2004/01/12「成人式に出席して」

    1月11日、織姫公民館で行われた一中、二中地区の成人式に出席した。

    最近の若者は覇気がないなどと言われることがときどきある。しかし、マスコミ
   で報道される成人式の騒動などをみると、エネルギーはあるのにその使い方がわか
   らないのでは?などとも思ってしまう。

    就職に関しては、いわゆるフリーターが増加の一途をたどっている。厚生労働省
   の定義では2002年に200万人を超え、10年前の約2倍となった。かく言う私も実
   はフリーターの先駆けであった。
    自分はいったい何がやりたいのか?それがわからず漫然とフリーターを続けてい
   る人もいるであろう。しかし、何年も続けているわけにもいかない。「自分は何に
   興味が引かれるのか?」「自分が見つけている仕事は何なのか?」このような自問
   自答の意識を持っていれば、必ず自分の進むべき道は見つかると思う。若さはいつ
   までもないことを忘れないで欲しい。



  2003/12/31「今年一年を振り返って」

    2003年もいろいろな出来事があった。米英軍のイラク攻撃や新型肺炎SARS
   の流行、国内では18年ぶりの阪神優勝で大阪が沸いた一方、我々の地元栃木県
   では足利銀行の破綻という激震があった。

    個人的には春の統一地方選挙で、市政壇上に上がらせていただいたことがもっ
   とも大きな出来事だったといえよう。
    3回あった定例議会のうち、2回一般質問もさせていただいた。「改革」を
   旗印に議会に挑んだが、一度決めたことは変えないというこれまでの体質は、
   そう簡単に打ち崩せるものではないことも、大いに実感した。

    今の足利、これからの足利に必要なものを考え、この街がまた元気な街になる
   ように、今後もあきらめずに根気強く活動してゆく所存である。



  2003/12/01「足利銀行一時国有化」

    先週29日、「足銀破綻」のニュースは栃木県のみならず全国に衝撃を与えた。
    今いちばん気がかりなのは、足銀と深い関係のある市内・県内の中小企業への
   影響である。融資が途絶えぬよう政府にしかっりとした対応をとっていただきたい。

    このような事態を引き起こしてしまった足銀経営陣(特にバブル期以降)の責任
   は大変重い。また、足銀を信じて増資(税金投入)に応じた県や市も、その責任を
   県民、市民から問われることになるであろう。

    破綻してしまった原因のひとつに地域経済の低迷があげられている。このこと
   を考えると、地域経済活性化の施策を提案し、一日もはやい足利再生を目指さな
   ければならないと、あたらめて感じた。



  2003/10/10「使えなかった予算」

    平成14年度の決算報告によると、足利市の市税調定額(収入されるべき額)は、
   およそ238億円だった。そのうち、収入未済額(未払い金額)は、なんと30億
   円以上であった。いわば、まぼろしの予算である。   

    もし30億円あれば、、、けやき小学校の改修工事なら3回もできてしまう。
   また、予算がないということでとん挫してしまった名草の「子供の森」(想定事業
   費26億円)をつくることもできる。

    不況によるやむを得ない事情の場合は別にしても、このような大金が未払いである
   ことは市政運営の点からも大問題である。
    では、政治がすべきことは何か?それは情報公開の推進であると私は考えている。
   税金がどこにどれだけ使われているのか、ムダな使い方はされていないのか、もっと
   もっと情報公開を進め、市民の皆様に納得して税金を納めていただけるようにするこ
   とこそが、政治の役目といえるのではないだろうか。



 2003/09/09「9月中旬に関東で大地震?の記事」

    今日発売の週刊誌(週刊朝日)に「9月中旬に関東でM7以上の大地震発生?」
   の記事が載っている。これは、FM電波の観測によって、地震の先行現象を捉える
   研究をしている八ヶ岳南麓天文台の民間研究者、串田嘉男さんからの情報だ。串
   田さんはこれまでにも、顕著な地震の前に、その先行現象を捉えていると言われ
   ている。
    とはいえ、場合によっては、世間を惑わしただけだと言われかねないことを承
   知の上で、今回公表に踏み切ったのだから、本人もかなり真剣にその危険性を感
   じているのであろう。

    阪神淡路大震災のときもそうであったが、微小地震の起こり方に異常があった
   など、科学的な観測にもさまざまな異常変化があったことが、あとになって報告
   されている。
    今回のような情報をどうとらえるかは研究者次第だが、あとになって何か言う
   前に、今自分のデータをチェックしてみてもいいのではなかろうか。彼らもその
   多くは、私たちの税金で研究をしているのだから、多少自分の研究に影響が出て
   も、その程度はやってもらいたいものである。



   2003/09/01「足利における地震災害の危機管理」

    今年は、関東大震災(1923年9月1日発生)から80年目の年にあたる。また、
   次の東京直下型大地震は、いつ来てもおかしくないとも言われて いる。これに対
   して、足利市ではいったいどのような危機管理が必要であろうか。

    通常、地震災害に対する危機管理というと、家屋の倒壊や火災などから、人命
   と財産をいかにして守るかが、最大の関心事となる。
    足利市では、80年前の関東大震災における被害記録はない。それを考えたなら、
   特別な危機管理は必要ないようにも思える。しかし、足利市のように、直接的な
   被害の危険性が少ない地方が考えなければならないことは、首都機能のマヒによ
   るさなざまな混乱への対応ではなかろうか。 首都機能がどの程度マヒした場合、
   どの程度の影響が想定されるのか、被害の度合い別に考えておく必要があろう。

    また、東京から100km圏内と、比較的近くに位置していることを考えるなら、
   迅速な救助体制ということも考えていいのではないかと思う。