2008/2/6〜8 緑風会会派行政視察(伊賀市・新城市)

 三重県伊賀市(2月7日)
  視察項目:議会基本条例

 伊賀市概要
 ・三重県北西部に位置し、近畿圏と中部圏の中間に位置する。
 ・忍者の里、松尾芭蕉の生誕地
 ・平成16年11月に1市3町2村の合併でできた市である。
  (上野市、島ヶ原村、伊賀町、阿山町、大山田村、青山町)
 ・人口は102,550人(平成19年3月31日現在)

  議会基本条例制定の前段として、自治基本条例があった。これは市の最高
 規範で市民・議会・行政のそれぞれの役割や責務、情報の共有、市民参加、
 自治の基本方針などが示されている。そして、議会の役割等をより具体的に
 定めるものとして議会基本条例が制定された。
  この条例ができた背景は自治基本条例の存在以外に、市民の力が大きかっ
 たことや正副議長の決め方などが考えられる。伊賀市では正副議長は立候補
 制で所信表明会を行っている。当時の議長候補が議会基本条例の制定を公約
 としたことが条例制定へ大きく前進した要因だったようである(本市の正副
 議長は立候補制ではなく、議長としての公約を掲げることもない)。
  条例制定に向けてまずは各種市民団体(83団体)との話し合いが行われた。
 ここで出てきた意見は「議員数が多い」「議員報酬が高すぎる」「一般質問
 で緊張感がない」「議員個人の活動はわかるが議会全体としては何をやって
 いるのかわからない」「議会と市民との間での意見交換会が必要」などであ
 った。
  こうしたなかで議員側から受け入れに抵抗があった内容として、議会モニ
 ターの設置、行政側への反問権の付与(一般質問で行政側から対案の提示な
 どを議員へ求めることができる権利)、議会報告会(意見交換会)の3つが
 あったようである。議会モニターは24時間議員を監視することにもなりかね
 ないので、この条件をはずし、反問権と議会報告会を受け入れることで決着
 した。議会基本条例の採決では賛成22反対11だった。

 伊賀市議会基本条例の特徴
 1.議会報告会の実施:34人の議員を5〜6名ずつの6班に分け、38ブロック
   を1年かけてまわる。
 2.一般質問は一問一答方式で行うことができる。
 3.議会審議における論点情報の形成:市長に対し政策提案に至るまでの経
   緯や財源措置などを明らかにするよう求める。
 4.政策討論会:議員の資質向上のために議員同士での自由討論
 5.委員会の出前講座:市民からの要請に応じ、審査過程等の説明を行う。
 6.議員研修の充実強化
 7.議員広報の充実:議案に対する各議員の対応(出欠や賛成反対)を議員
   広報で公表
 8.議員定数:現在34名だが、来年の選挙では28名に削減



同僚の渋沢議員と

伊賀市は松尾芭蕉のふるさとでもある。


 コメント)
   一問一答方式などは本市議会のほうが先行しているものの、それ以外は
  見習うことばかりである。市民との直接対話ということで、私も定期的に
  オープンミーティングを実施しているが、議会が行政に対して力を発揮す
  るには、伊賀市のように議会としての報告会が望ましい。しかし、本市へ
  の導入は同僚議員からの抵抗が容易に想像できる。少なくとも、出欠や賛
  成反対を広報等に公表することは実現させたい思いである。




 愛知県新城市(2月8日)
  視察項目:予算編成過程からの情報公開

 新城市概要
 ・愛知県南東部に位置し、長篠・設楽が原の合戦地。
 ・平成17年10月に1市1町1村の合併でできた市である。
  (新城市、鳳来町、作手村)
 ・人口は5万2千人強
 ・面積は499平方キロメートルと、本市の約178平方キロメートルの3倍弱
  あるが、山間地が多いため人口は少ない。

  新城市では合併後、市財政の現状を市民にもわかっていただくことを目的
 に予算編成過程からの情報公開をはじめた。具体的には各部署から提出され
 た予算要求書とその結果(予算が削減された場合などはその理由も付して)
 を公表している。公表の仕方は市のホームページ上によるものと、市民から
 の要請による紙での公表とがあるようだ。ただ、今のところその都度手作り
 しているので、今後はシステム化が必要とのことであった。
  合併前は市にお金がないことをむしろ隠す傾向にあったようである。しか
 し、新市になり市長も新しくなって、考え方が逆転したとのことである。そ
 の背景には約200億の予算に対し、歳入歳出の乖離が当初59億円ほどあ
 った事実も要因になったようである。3年目の現在は18億円ほどまで圧縮
 できたものの、いまだに赤字経営とのことである。
  情報公開としては、市民向けにやさしく記した予算説明書「ザイセイの話」
 といった冊子がある。これは北海道のニセコ町をモデルに作成したとのこと
 で、これを全世帯へ配布しているとのことだった。また、その予算は300
 万円弱とのことである。


担当から説明を受ける。

 コメント)
   市民からのさまざまな要求に対しても「できない」ことの説明責任を果
  たすべきといった考え方があることは、本市も見習うべきことである。予
  算編成過程から情報公開することにより、市職員の意識も変わってきたと
  のことで、情報公開こそ改革の突破口を証明しているといえよう。私も議
  員一年目から情報公開の推進には力を入れてきているが、まだまだである
  と感じた。
   市民向けの予算説明書は、本市でも導入したいものである。市職員の負
  担も増え、予算もかかることではあるが、市民と行政職員さらに議員の意
  識を変える力があると感じた。





活動報告に戻る