第 8 章

個性は不平等で不公平が自然で真実





 人はみな「無くて七癖…十人十色」と、それぞれが持って生まれた素質、個性があり、それらは不平等、不公平が自然であり、真実です。
 個性はその人の遺伝子が決める固定プログラム−ハードウエアー−といってよく、必ずしも親からの遺伝とは限りません。
 同級生の身長を計っても、背の高い数人が図の右端に、また背の低い数人が図の左端におり、平均的な身長の者が、中央の山で示されるように圧倒的に多い…。このように、同年輩の集団について、ある特性を数量的に計って、数値化して判定する…図の中に示した平均値と偏差値の公式を作ったのはガウスです。毎年の大学入試テストの採点結果も−これはただ入試のための糞暗記量の比較と見てよいですが−この曲線によく一致します。
 しかし人間には、知識の暗記量よりも、後天的な学習→躾、教育、体験、修養による高邁な人格形成→智恵=善悪の判断力=倫理観というソフトウエアーが遥かに重要で、図の下側に書き込んでおきました。
 ガウスは全く天才でした。この統計公式を作った時は20歳、24歳で大学の数学の教授になりましたが、彼の両親は無学の煉瓦焼工でした。小学校4年→10歳の時、算数の時間に、先生は「さあ、1から100まで足したらいくらになるか計算しなさい」と問題を出しました。10分ばかりすると、「先生できました。5050です」と答えました。彼は(1+100)×100/2=101×50=5050と計算したのです。彼の公式の意味を考えて見ませんか。
 進学指導に際して、生徒の学力判定の目安として、偏差値の応用を思いついたのは、上田蚕絲専門学校出の桑田昭三という中学教師ですが、まず塾が飛びつき、全国の学校の先生が、これを選別に悪用し出したのです。こうして子供たちを、ただ進学のための「点採り虫」に変えてしまったのです。



第9章 教育ではなく開智こそ

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