いにしへの 奈良の都の 八重櫻 けふ九重に 匂ひぬるかな

意味:
(奈良の僧都から届いた八重桜を受け取る役目を授かり、御前にささげる時に詠んだ歌)その昔、奈良の都に咲いていた八重桜が、今日は九重の宮中に咲き匂っているのです。

出典:
 詞花集・春

読み(現代表記):
 いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうここのえに においぬるかな

作者:
伊勢大輔(生没年未詳)神祇伯大中臣輔親の女。代々歌人の系に生まれ、祖父は大中臣能宣(49番の作者)。上東門院彰子に仕え、後に高階成順と結婚した。中古三十六歌仙の一人。