明けぬれば 暮るるものとは 知りながら 猶恨めしき 朝ぼらけかな

意味:
 夜が明ければまた日が暮れて、またあなたと逢うことができるとは知っているが、それでもやはり、あなたと別れて帰る明け方は恨めしいものだ。

出典:
 後拾遺集・恋二

読み(現代表記):
 あけぬれば くるるものとは しりながら なおうらめしき あさぼらけかな

作者:
藤原道信朝臣(972頃〜994)藤原為光の子、母は伊尹の女。藤原兼家の養子となったが、兼家の没後、内大臣・道兼に引き取られた。従四位上左近中将。中古三十六歌仙の一人。『大鏡』に「いみじき和歌の上手にて 心にくき人にいはれたまひしほどに うせたまひにき」という記述があるように、わずか23歳という若さで惜しまれながら世を去った。