意味:
 難波津に咲くよ、この花が。冬の厳しさに耐え、今は春になったと、咲くよ、この花が。

解説:
 百人一首の競技の初めに序歌として朗詠されるこの歌について、古今和歌集仮名序には、次のような記述がある。

 難波津(なにはづ)の歌は、帝の御初(おほむはじ)めなり。大鷦鷯の帝(おほさざきのみかど)、難波津にて皇子(みこ)と聞える時、春宮(とうぐう)をたがひに譲りて位に即(つ)き給はで三年(みとせ)になりにければ、王仁(わに)といふ人のいぶかり思ひて、詠みて奉りける歌なり。この花は梅の花をいふなるべし。

訳:
 難波津の歌は大鷦鷯の帝(仁徳天皇)の御代の初めを祝う歌である。仁徳天皇が難波で皇子であられた時、弟皇子と春宮の位をたがいに譲り合って即位なさらず、三年も経ってしまったので、王仁という人が気がかりに思い、詠んで奉った歌である。この花は梅の花をさすのであろう。(王仁:百済から帰化した学者)

読み(現代表記):
 なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな