作者:
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね・生没年未詳)三十六歌仙の一人。身分は低かったが、『古今集』の撰者ともなった。即興の歌人としても名を残し、『大鏡』にある次の逸話が有名。
あるとき醍醐天皇から、月のことを「弓張」というのはなぜかと下問されて、「照る月を 弓張としも いふことは 山の端さして いればなりけり」(射ると入るをかけた洒落)と歌でお答えした。天皇はこれを賞でられて、ほうびの白絹の衣を賜った。すると躬恒はこれを肩にかけて、即興で「白雲の このかたにしも おりゐるは あまつ風こそ 吹きてきぬらし」と詠んだという。
出典:
古今集・秋下