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コードネーム Pangea V(国際刑事警察機構)

 Interpol(国際刑事警察機構:ICPO)(http://www.interpol.int/en)は4日、オンラインでの違法医薬品・偽造医薬品(illegal and counterfeit medicines)購入による健康リスクの認識を高めるため、9月25日から10月2日まで、各国医薬品規制機関、WHOの International Medical Products Anti-Counterfeiting Taskforce (IMPACT) などの機関と協力したなどと協力した集中取締“Pangea V”(オペレーション・パンゲア)を行ったことを明らかにしました。

Global crackdown on illicit online pharmacies
(INTERPOL 2012.10.04)
http://www.interpol.int/en/News-and-media/News-media-releases/2012/PR077

 この集中取締はPangea Vが示すように今回で5回目で、参加国も加盟190か国中100の国と地域に拡大しています。(参加国は上記記事の右の方にある)

Operation Pangea(INTERPOL)
http://www.interpol.int/en/Crime-areas/Pharmaceutical-crime/Operations/Operation-Pangea

 今年は、VISAやMastercardなどのカード会社の協力を得て、違法なオンライン薬局とのつながりがあったり、大量のスパムメール送るなどしていた18,000のウェブサイトを確認、サイトの閉鎖や支払いの停止が命じられたそうです。

 また、規制機関や税関などによって調査をうけた133,000パッケージ中、6,700パッケージ375万錠(抗がん剤、抗生物質、やせ薬、勃起不全薬など、約1050万ドル相当)が違法または偽造医薬品として押収され、世界で79人が逮捕または事情聴取されているようです。

  一方、昨年からこの取り組みに参加するようになった日本でも、9都道府県警により、インターネットを使った医薬品の無許可販売や無承認医薬品の広告の集中摘発が行われ、薬事法違反などの疑いで9人が逮捕、3人と法人1社を書類送検されたそうです。

薬事法違反容疑などで12人摘発 9都道府県警が集中捜査
(47NEWS 10月4日 共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100401001699.html

 上記によれば、日本では医薬品22種類、4671点が押収されたそうです。(大半が勃起不全薬で、「まつげが増える育毛剤」をうたった点眼薬もあった)

関連情報:TOOPICS
  2011.09.29 コードネーム Pangea IV(国際刑事警察機構)
  2010.10.15 コードネーム Pangea III(国際刑事警察機構)
  2009.11.20 コードネーム Pangea II(国際刑事警察機構)
  2010.02.14 日本における個人輸入の実態とネット販売規制の国際的動向

 


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#1 Comment By アポネット 小嶋 On 2012年10月05日 @ 01:20:07

例によって、各国の規制機関が取り締まり状況を一斉に公表しています。(順次追記します)

MHRA plays vital role in £6.5million drugs bust and stopping spam emails
(英国医薬品庁 2012.10.04)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON189211

英国MHRAでは230万錠(380万ポンド相当)の未承認の医薬品を確認、うち68,000錠は偽造医薬品だったそうです。

また、確認された医薬品のタイプは、喘息、ナルコレプシー、乳がん、コレステロール低下薬、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗マラリア薬、勃起障害薬、抗肥満薬、ヒト成長ホルモン、筋肉増強剤、抗うつ薬、鎮静剤などだったそうです。

FDA takes action against thousands of illegal Internet pharmacies
(米FDA 2012.10.04)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm322492.htm

米国では4100以上のサイトに警告書を送ったとのこと。

例として、タミフル、バイアグラ、イソトレチノインと共にドンペリドンを挙げています。(米国ではドンペリドンは回収されているというのは初めて知った。乳汁分泌目的で使う人がいるらしい。)

INTERPOL-coordinated operation against illegal internet sale of medicines
(デンマーク医薬品庁 2012.10.04)
http://laegemiddelstyrelsen.dk/en/service-menu/news/interpol-coordinated-operation-against-i—medicines

デンマークでは13の違法サイトがinterpol に報告されたそうです。

About S$18,000 Worth of Illegal Health Products Sold Online Seized by Hsa During Internet Blitz
(シンガポールHSA 2012.10.04)
http://www.hsa.gov.sg/publish/hsaportal/en/news_events/press_releases/2012/about_s_18_000_worth.html

シンガポールでは38のサイトについて調査が行われ、うち15のサイトで違法なhealth products が販売されていたそうです。

日本でも抑止効果を考えて、海外のように警察庁か厚労省が今年の取り締まり状況をきちんと公表すべきだと思います。

#2 Comment By アポネット 小嶋 On 2013年03月14日 @ 00:02:56

インターポールと世界の大手製薬企業29 社は世界的な偽造医薬品による被害に対抗するため、タッグを組むことになったそうです。

INTERPOL and pharmaceutical industry launch global initiative to combat fake medicines
(INTERPOL 2013.03.12)
http://www.interpol.int/en/News-and-media/News-media-releases/2013/PR031

エーザイがインターポール(国際刑事警察機構)と世界大手製薬企業による
偽造医薬品に対するグローバルな取り組みに参画
(エーザイ株式会社 2013.03.13)
http://www.eisai.co.jp/pdf/others/20130313.pdf

偽造品の脅威に曝されていない国、医薬品、医療用品はありません。日々数多くの人々の生命を危険にさらしているこの脅威に、グローバルな取り組みで対応していく必要があります。

本プログラムにおいて重要な目的の一つとして、インターネットで医薬品を購入する人々に、偽造医薬品の危険性への意識を高めることです。

世界保健機関(WHO)によると、所在地を隠している違法なインターネットサイトから購入した医薬品の50%以上が偽造医薬品であると推定されています。

一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会で、ネット販売推進派の方たちは偽造医薬品の問題は別問題と主張されているようですが、「ネットでくすりを購入する」ということには変わらないわけで、「一般用医薬品」の販売であっても、こういった商品が紛れ込む可能性がゼロではありません。

医薬品ではありませんが、効能をうたったまがい物の「ウイルスプロテクター」(→TOPICS 2013.02.18)の健康被害や、健康リスクが指摘されているサプリメントがオンラインショップで売られ続けられていることもこれに近い問題をかかえていると思います。